マーケティングとは何でしょうか。
「売るための仕組み作り」とか「販売を不要にする方法」と覚えている人が多いと思いますが、
色々な解釈がありますのでまとめてみました。
●マーケティングの定義
アメリカマーケティング協会(AMA)
会員数3万人超えの世界最大のマーケティング組織です。
AMAのマーケティングの定義は次のようになります。
マーケティングとは、顧客や依頼人、パートナー、社会一般にとって
価値のある提供物を創造・伝達・提供・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである。
日本マーケティング協会(JMA)
日本の企業経営の近代化と産業の発展を理念として、
マーケティングの理論や技法を研究し、教育や普及をおこなっている団体です。
JMAはマーケティングを以下のように定義づけています。
マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、
顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である
ちょっと長い・・?。「グローバル」や「公正な競争」は無くてもよいかもしれないですね。
グロービス経営大学院
「社会に創造と変革をもたらすビジネスリーダーの育成」をその教育方針に据える、実践的なMBA(経営学修士)を育成させるビジネススクール。
グロービスではマーケティングを下記のようにまとめています。
顧客満足を軸に『売れる仕組み』を考える活動のこと
さすがですね。シンプルにまとめています。
一般に、一瞬で読まれる文字数は13文字までと言われていますが、
顧客満足を軸に売れる仕組み /までで13文字になります。
現代のマーケティングでは顧客満足は欠かせませんし、「活動」に様々な要素が込められているので伝わる最小限の言葉になっていますね。
ピーター・ドラッカー
『もしドラ』で一般の人にも有名になった、経営思想家ドラッカーさんです。
ドラッカーさんのマーケティングの定義は、、
マーケティングの目的は、販売(セリング)を不要にすることだ
この言葉は有名ですが、販売を不要にするという言葉は印象に残りやすいパワーワードですね。
セリング
目先の販売に重点。
売り上げのために「売り込む方法」に重点。
短期的思考。
マーケティング
将来の売上のための「売れる仕組み作り」に重点。
長期的思考。
コトラー
マーケティングの神様、近代マーケティングの父の異名を持つアメリカの経営学者です。
マーケティングとは社会活動のプロセスである。
その中で個人やグループは、価値ある製品やサービスを作り出し、提供し、
他社と自由に交換することによって、必要なものや欲するものを手に入れる
コトラーさんはニーズとウォンツの使い分けに関しても説かれています。
ニーズ:不足したものを求める漠然とした・潜在的な欲求
ウォンツ:具体的な(顕在的な)もの・ニーズを満たすもの
●マーケティングコンセプト(市場に対する考え方)の変遷 byコトラー
次に、マーケティングに関しての考え方の変遷を見ていきましょう。
製品中心のマーケティング1.0
1970年代まで
作り手が主導で考えて開発。
新しい機能や使い方や性能など『機能的価値』を広告で広める手法
つまり、作れば売れた時代です。良い製品を考えて作れば売ることが出来ました。
消費者志向のマーケティング2.0
1980年代
顧客のニーズを把握して製品とする
機能的・感情的価値
機能だけでなく、持つ事によるステータスなどにも着目するようになりました。
ウォンツでなくて、ニーズを満たす、というのがポイントですね。
差別化が主なコンセプトになった時代です。
価値主導のマーケティング3.0
1990年代~2000年代
欲しいものが世の中に行きわたったため、
今度はさらに高次の欲求にこたえようとすることになります。
機能的・感情的・精神的価値
トヨタのプリウスなど、環境や社会に悪影響を及ぼさないか、などグローバル社会に貢献している会社が選ばれるようになります。
世の中に悪影響を与えていないことは精神的にも負い目を感じなくて気分がいいですよね。
自己実現のマーケティング4.0
マーケティング3.0までで多くの人が
生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、承認・尊厳欲求を満たすようになり、
マズローの欲求5段階説でいうところのもっとも上位の欲求である
自己実現の欲求
を満たすことが求められるようになりました。
つまり顧客が「なりたい自分」や「あるべき姿」を見つけ出し達成させることを目的とします。
製品やサービスによって「自分自身がなりたい姿」に近づけることを目的とするマーケティングです。
長くなるので、次の記事に詳しく書きます。
●マーケティングのパラダイムシフト (※パラダイム=認識の枠組み)
マーケティングにおける取引の捉え方もまた時代や市場の成熟度によって変遷してきました。
①刺激ー反応パラダイム
取引を売り手が商品に販売刺激を加え、
買い手の購買反応を引き出す方法として考える
②交換パラダイム
取引を売り手と買い手の自由意思に基づく、
相互同意型の交換として考える方法
③関係性パラダイム
売り手と買い手をパートナーとしてとらえ、
両者の協働による長期的な供創価値実現として取引を考える方法。
現在は関係性パラダイムにシフトしているところになります。
長期的な関係性強化のために顧客の囲い込み戦略や、個人個人に的を絞った1to1マーケティングがいい例ですね。
●マーケティングの4つの要素 4P
Product 製品戦略
Price 価格政策
Promotion 広告・販売促進政策
Place 流通チャネル政策
この4つの要素の組み合わせをマーケティング・ミックスと言います。
マーケティングミックスの構成要素が4Pなので、
マーケティングミックス=4Pの実行戦略となります。
企業のマーケティングの個性が出るところですね。
マーケティングミックスで注意すべきは
標的顧客に適した製品政策や広告・販売促進政策、チャネル政策を構築する必要があります。
テレビ番組の内容や視聴者層と、CMの内容に関係性があることがあげられますね。
何故この位置・このタイミングでこの広告が、などと考えると面白いと思います。
●マーケティングの4C
4Pを顧客視点でとらえたものです。
Customer Value (顧客にとっての価値) ⇔ Product (製品)
Customer Cost (顧客の負担) ⇔ Price (価格)
Communication (コミュニケーション)⇔ Promotion(広告)
Convenience (顧客の利便性) ⇔ Place (流通・チャネル)
4Pの視点だけで物事を考えると、どうしてもプロダクトアウト型(製品をどのように売ろうか)
という考えに陥ってしまいます。
前述しているようにマーケティング3.0、4.0の時代になり、価値主導や自己実現のマーケティングのフェーズにおいては、顧客側での視点(マーケットイン)が重要だと考えられ4Cが提唱されました。
4Pも4Cもそれぞれの整合性を考えるのが重要です。
●マーケティングのおススメ本
おススメの2つを紹介します。
マーケティングの教科書的な本。ノウハウが網羅されています。
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まとめ
以上、マーケティングに関してまとめてみました。
時代の変遷に応じて、求められるものが変わってきています。
自己実現を満たした先は何が求められるようになるのでしょうか、想像するのも楽しいですね。