TCO(Total Cost of Ownership)
①物語性を取り入れた説明
高校生の太田くんは、自分の町で起きる問題を解決するためのアプリを作りたいと思いました。町内会や地域のイベントをまとめたり、ゴミの分別を簡単にチェックできる機能を持ったアプリを作るため、彼はプログラマーの友達に頼んで、アプリを作ってもらいました。
初めは、「イニシャルコスト」としてアプリ開発費がかかります。例えば、アプリの開発に50万円、データベース設計費に10万円が必要です。これで、開発費の合計は60万円となりました。
しかし、それだけでは終わりません。アプリを運用するためには、「ランニングコスト」と呼ばれる追加の費用がかかります。たとえば、サーバー代が月に1万円、年間で12万円。アプリを正常に運用するためのメンテナンス費用も必要で、年2回のメンテナンスで各5万円、年間で10万円かかります。さらに、定期的なアップデートや機能改善の費用も必要です。
太田くんが最初に考えていなかったのは、これらのコストを合計した「TCO(Total Cost of Ownership)」です。TCOとは、システムやプロジェクトの導入から運用、保守、さらには廃棄に至るまでの総費用を指します。
太田くんが導入時にかかった「イニシャルコスト」と、アプリを維持するための「ランニングコスト」を合計した結果、以下のようなTCOが計算できました。
- イニシャルコスト(初期費用)
- アプリ開発費:50万円
- データベース設計費:10万円
- ランニングコスト(運用費用)
- サーバー代:月1万円(年間で12万円)
- メンテナンス費用:年2回、各5万円(年間10万円)
- アップデート費用:年1回、10万円
これらを合計すると、TCOは年間で
イニシャルコスト60万円 + ランニングコスト32万円
合計92万円となります。
太田くんは、これを知って、アプリを作るには初期費用だけでなく、継続的な費用も考慮する必要があると学びました。
②実際の事例
イニシャルコストとランニングコストの具体例を以下に示します。
イニシャルコストの例
- アプリ開発費:50万円
- データベース設計費:10万円
- サーバー導入費:20万円
ランニングコストの例
- サーバー代:月1万円(年間で12万円)
- メンテナンス費用:年2回、各5万円(年間10万円)
- アプリのアップデート費用:年1回、10万円
- バックアップシステムの運用費用:年間5万円
- サポート費用:年間3万円
TCOに含めるべきか間違えやすい例
- 埋没原価
すでに発生した費用であり、回収できない費用のこと。たとえば、開発開始前に買ったPCやソフトウェアなど。通常はTCOに含めません。 - 減価償却費
設備投資の長期的なコスト。たとえば、サーバーやデータベースなどのハードウェアのコストを数年にわたって分配します。 - 除却損
老朽化した設備を処分する際のコスト。
②実際の事例
- クラウドベースのアプリ運用
クラウド環境でアプリを運用する場合、オンプレミス(自社サーバー)と比べてサーバー代やメンテナンス費用が低く抑えられます。初期費用は低くなる一方で、長期間の利用ではサーバー代やデータ転送費用が累積し、結果的にTCOが高くなる場合もあります。 - 自社サーバーでのシステム運用
自社サーバーを用意してシステムを運用する場合、イニシャルコストにサーバーのハードウェアや設置費用が含まれます。ランニングコストには電気代や冷却費用、メンテナンス費用が必要です。システムのアップデートやバックアップなどの運用も重要です。
③クイズや小テスト: TCO(Total Cost of Ownership)
クイズ1: TCOとは何の略ですか?
A. Technical Cost Optimization
B. Total Cost Optimization
C. Total Cost of Ownership
クイズ2: TCOに含まれるものとして最も適切なのはどれですか?
A. 広告費
B. イニシャルコストとランニングコストの合計
C. 株主への配当金
クイズ3: TCOを計算する際にランニングコストに含まれるものはどれですか?
A. サーバー代、メンテナンス費用、アップデート費用
B. イニシャルコスト、埋没原価、除却損
C. オフィスの清掃費用
④回答
クイズ1の回答: C. Total Cost of Ownership
クイズ2の回答: B. イニシャルコストとランニングコストの合計
クイズ3の回答: A. サーバー代、メンテナンス費用、アップデート費用