TDD(テスト駆動開発)
①ストーリー性のある説明 TDDとは?~テスト駆動開発の秘密~
放課後のプログラミングクラブ。中学生のユウキが先生に質問しました。
「先生、プログラムを書いてると、動かなくなることがあって大変なんです。効率よくミスを減らす方法ってないんですか?」
先生は笑顔で答えました。
「それなら、TDD(Test-Driven Development)という手法が役に立つよ。日本語では『テスト駆動開発』と言うんだ。」
「テスト駆動開発って何ですか?」
「簡単に言うと、プログラムを書く前にテストを書く方法だよ。このテストが、プログラムが正しく動いているかを確認する基準になるんだ。」
「でも、プログラムを書いてないのに、どうやってテストを書くんですか?」
「いい質問だね!TDDの基本サイクルを説明しよう。」
先生はホワイトボードに次のサイクルを書きました。
- 失敗するテストを書く:まず、プログラムが正しく動く条件をテストとして記述します。この時点ではプログラムがないので、テストは必ず失敗します。
- テストに通る最小限のコードを書く:テストが成功するために必要な最低限のコードだけを書きます。
- リファクタリングする:コードを整理し、重複を除去してクリーンな状態にします。
「これを繰り返すんだよ。このサイクルをRed/Green/Refactorと呼ぶんだ。」
「Red/Green/Refactor?それは何ですか?」
「TDDでは、テスト結果を色で通知してくれるツールが使われることが多いんだ。たとえば、xUnitというテストツールでは、テストが失敗すると赤いバー、成功すると緑のバーが表示されるんだ。それに基づいて作業を進めるのがTDDの特徴だよ。」
「なるほど!テストが赤いバーから緑のバーに変わるのを目指してプログラムを書くんですね。」
先生は続けます。
「そうそう。これを繰り返すことで、バグが少なく、変更に強いコードが書けるんだよ。」
「普通のプログラミング方法とどう違うんですか?」
先生は比較表を黒板に書きました。
項目 | TDD(テスト駆動開発) | 従来の開発手法 |
---|---|---|
順序 | テスト→プログラム→リファクタリング | プログラム→テスト |
目的 | テストを基準にコードを書く | コードを書いた後にテストを追加 |
バグの発見 | 早い段階で発見 | 発見が遅れることが多い |
「これを見ると、TDDは最初からゴールが見えてるから安心して進められそうですね!」
「その通り。テストを最初にするからテストファーストプログラミングとも呼ばれるんだよ。TDDはプログラミングを迷路じゃなくて地図のある冒険に変えるんだ。」
TDDの定義
②実際の事例:TDDの使用例
- アジャイル開発の基盤
TDDはアジャイル開発の基盤として広く活用されています。頻繁に変更があるプロジェクトでも、テストを基準にコードを書いていくため、安心して機能を追加できます。 - スタートアップ企業
限られたリソースで迅速に開発を進める必要があるスタートアップ企業では、TDDが重宝されています。特に早期のバグ発見と修正が必要な環境に最適です。 - 金融システム
バグが許されない金融分野では、TDDが不可欠です。取引システムや決済システムでは、テストを基準にした開発が品質保証の要となっています。
➂クイズで確認しよう!
クイズ1 TDDの「T」は何の略でしょう?
A. Test
B. Target
C. Task
クイズ2 TDDの基本サイクルの名称はどれでしょう?
A. Blue/Green/Improve
B. Red/Green/Refactor
C. Test/Code/Release
クイズ3 TDDが特に効果的な場面はどれでしょう?
A. ブログ記事のデザイン変更
B. バグが許されない金融システムの開発
C. 個人用メモ帳アプリの作成
回答
クイズ1の答え
A. Test
(解説:TDDは「Test-Driven Development」の略です。)
クイズ2の答え
B. Red/Green/Refactor
(解説:TDDのサイクルでは、テストの失敗(Red)、成功(Green)、コードの改善(Refactor)が順番に行われます。)
クイズ3の答え
B. バグが許されない金融システムの開発
(解説:TDDは信頼性が求められる場面で効果を発揮します。)
応用情報技術者試験 令和4年秋 午前問49