フォールトトレラント
① 物語性を取り入れた説明
中学生のアキラは、学校の情報技術の授業で「フォールトトレラント」という言葉を初めて聞きました。彼はもっと詳しく知りたいと思い、ITエンジニアである姉のサユリに尋ねることにしました。
アキラ: 「お姉ちゃん、今日は授業で『フォールトトレラント』って言葉を聞いたんだけど、どういう意味?」
サユリ: 「フォールトトレラントは、システムが故障しても動作を続ける能力のことだよ。例えば、自転車のタイヤがパンクしても走り続けるようにする技術みたいなものかな。」
アキラ: 「そんなことができるの?」
サユリ: 「実際のシステムでは、冗長化という方法を使ってそれを実現するんだ。つまり、同じ機能を持つ部品を複数用意しておくんだよ。例えば、サーバーが2台あって、1台が故障してももう1台が代わりに動くという仕組みなんだ。」
アキラ: 「なるほど、スペアがあるんだね。でも、それって高くつかない?」
サユリ: 「確かにコストはかかるけど、重要なシステムではその価値があるんだ。例えば、銀行のシステムや病院のシステムは止まると大変なことになるからね。」
アキラ: 「他にどんな例があるの?」
サユリ: 「例えば、航空機の制御システムもフォールトトレラントだよ。飛行中にコンピュータが故障しても安全に飛べるように、複数のコンピュータが同じ役割を果たしているんだ。」
アキラ: 「じゃあ、フォールトトレラントとRAIDって関係があるの?」
サユリ: 「いい質問だね。RAIDもフォールトトレラント技術の一種だよ。RAIDは複数のハードディスクを使って、データの安全性とパフォーマンスを向上させる技術なんだ。ハードディスクが故障してもデータが失われないようにしているんだよ。」
アキラ: 「すごいね。ITの世界ではこんなにたくさんの技術が使われているんだね。」
サユリ: 「その通り。フォールトトレラントを実現する方法としては、フェールセーフ、フェールソフト、フールプルーフなどがあるよ。例えば、フェールセーフはシステムが故障しても安全な状態になるようにする仕組みで、信号機が故障しても赤信号のままになるのがその例だね。フェールソフトは、故障が発生してもシステムが制限された機能で動作を続ける方法で、例えば飛行機のエンジンが一つ故障しても他のエンジンで飛行を続けられることがあるんだ。フールプルーフは、ユーザーが間違った操作をしてもシステムが安全に動作するように設計することで、例えば電子レンジがドアを開けたままでは動かないようにする仕組みだよ。」
アキラ: 「なるほど、いろんな方法でシステムを守っているんだね。」
サユリ: 「そうだね。フォールトトレラントはシステムの信頼性を高めるために欠かせない技術だから、しっかり覚えておくといいよ。」
② 実際の事例
企業や自治体での使用例
企業: ある大手金融機関では、フォールトトレラント技術を用いてオンラインバンキングシステムの信頼性を確保しています。
- 冗長化されたサーバー: メインサーバーとバックアップサーバーを用意し、どちらかが故障してもサービスが継続できるようにしています。
- RAID技術: データストレージにRAIDを導入し、ハードディスクの故障に対してもデータの喪失を防いでいます。
- 自動フェールオーバー: システムが故障を検知すると、自動的にバックアップシステムに切り替わります。
自治体: ある大都市の自治体では、災害対策としてフォールトトレラント技術を活用しています。
- データセンターの分散配置: 複数のデータセンターを地理的に離れた場所に配置し、一つが災害で被害を受けても他のデータセンターでサービスを提供できるようにしています。
- 定期的なバックアップ: 重要な市民データを定期的にバックアップし、障害時に迅速に復旧できる体制を整えています。
- システム監視とアラート: 24時間365日のシステム監視を行い、障害発生時には迅速に対応できるようにしています。
③ クイズや小テスト
クイズ1 フォールトトレラントの主な目的は何ですか?
A. システムの速度を向上させる
B. システムの信頼性を高める
C. システムのデザインを改善する
クイズ2 フォールトトレラント技術の一例はどれですか?
A. 冗長化されたサーバー
B. データの暗号化
C. インターフェースの改善
クイズ3 RAIDはどのような技術ですか?
A. データの圧縮技術
B. 複数のハードディスクを使ったデータ保護技術
C. インターネットの接続技術
回答
クイズ1: B. システムの信頼性を高める
クイズ2: A. 冗長化されたサーバー
クイズ3: B. 複数のハードディスクを使ったデータ保護技術
応用情報技術者試験 H27秋 午前問14
