サッカー五輪代表の「オーバーエイジ」制度を企業経営理論の中途採用のメリットデメリットから考えてみた。

サッカー・フットサル

東京都は緊急事態宣言が間もなく解除、ワクチン接種率は他の先進国に比べていまだに低い状況で

連日オリンピックの開催の是非に関する報道がにぎわいつつも、もうやるしかない、と腹をくくった空気感がある今日この頃です。

 

そのような状況ではありますが、サッカーのオリンピック代表のオーバーエイジ候補に対する期待のあまり、

オーバーエイジが組織に与える影響を企業経営理論の観点から考えてみました。

 

オーバーエイジって??

、、と思われて方も多いと思うので簡単に説明すると、

24歳以下が条件のオリンピック代表に3名だけ25歳以上の選手を合流させることが出来る制度です。

 

そもそも、他の競技に年齢制限なんてあったっけ?

と思われたと思いますが、サッカーはオリンピックの中でも人気の競技なので大会を盛り上げたいIOC側と、サッカーの世界大会はFIFAワールドカップがあれば十分である、というFIFA側とのせめぎあいの結果、と言われています。

スポーツの世界最高の大会はワールドカップなので、FIFAからするとオリンピックが年齢制限のない大会にするとワールドカップの権威が落ちてしまう、と考えるためです。

 

つまり、アルゼンチンだったらメッシを、ブラジルだったらネイマールを、フランスだったらエムバぺを呼ぶことだって出来るわけです(!)

戦術面以外でも興行面で、オーバーエイジという制度はライトファンの関心を引くため、非常に有効なんですね。

ちなみにコアなサッカーファンだと「オリンピックは若手の見本市」と考える人が多く、ベテランよりもあまり詳しくない選手のプレーを見るのが楽しみだったりします。

組織の上限人数

企業経営理論でも統制範囲の原則(スパンオブコントロール)というものがあります。統制できる人数には限りがある、という考え方です。

私が中学生の頃ハマっていた三国志のゲームでは統率力というデータが兵士を連れていける人数だった(統率力1~99、×1000人)のでその観点に近いですね。

 

話が脱線しましたが、

今回のオリンピックのメンバー登録はわずか18名です。比較対象となるワールドカップは23名です。

サッカーのレギュラーは11名です。ゴールキーパーの控えも必要なので、フィールドプレイヤーとしては18-2で実質16名。

その中にいわばレギュラー確定の3名が追加されるわけです。(16-3=13人!

 

今回は開催国であるため、長く苦しい予選を戦い抜いて勝ち取った出場権、というわけではないですが、

一般企業で考えると国家の威信をかけた大きなプロジェクトを若手中心に獲得したものの

プロジェクトを大成功させるためには若手だけでは心もとない。実績のあるベテランを採用しよう!というような感じです。

若手たちの気持ちを考えると複雑ですよね。ただでさえ18人という少ない枠が、13人しかないという状態になったわけです。

 

 

さあ、そこで中途採用のメリット・デメリットとなぞらえて考察してみましょう。

中途採用のメリット

中途採用のメリット

1.即戦力

2.教育コストが不要

3.新しい考え方を取り入れることが出来る

 

1.即戦力

これはオーバーエイジとしては当然の役割ですね。チームの弱点を補うケースや、実力がずば抜けている選手がいた場合に活用します。

私としては最も戦力になったOAとしてはロンドン五輪の吉田麻也選手。次点で同じくロンドン五輪の徳永選手だったと感じています。

新しく組織に加入する人は成果を上げようと功を焦る傾向のある攻撃の選手よりも、組織全体をまとめたり、不足分を補う守備の選手が良いと感じます。

日本に関して言えば、攻撃の選手でオーバーエイジで活躍したイメージはあまりないですね。

 

2.教育コストが不要

新入社員だと社会人教育からまずスタートするし、新しい組織だと組織のルールとか決めごとを伝えるのにも労力がかかりますよね。

サッカー五輪の場合の教育コストのコストはお金というよりも時間的コストと考えるといいと思いまう。

サッカーのオーバーエイジの場合は年齢制限のないフル代表が五輪代表と同じ森保監督なので、すでに監督の戦術は分かっている分、教える手間がほとんど不要です。

 

3.新しい考え方を取り入れることが出来る。

中途採用のメリットには外部からのノウハウや考え方を取り入れるということも上げられます。

特に新しい市場を開拓する時などはその業界に詳しい人の採用は力になることでしょう。

 

OAだと、やはり外国人との対戦経験や国際大会の経験を伝えるという役割が大きいでしょう。

今回のメンバーを見てもオリンピックの出場経験や国際試合、外国人対応の経験なども重視されていそうです。

吉田麻也:08年北京出場、12年ロンドン五輪のOA出場(キャプテン)

酒井宏樹:12年ロンドン五輪出場。フランスリーグに所属(今回の対戦相手の1つ)

遠藤航:16年リオ五輪出場。

 

人材選出のうまさ・納得感がハンパないですね。

FWの大迫選手が選ばれるのでは?という話もありましたが、今回はこの3人がベストだったと思います。

 

さて、問題なのはデメリットです。

中途採用のデメリット

1.企業文化になじみにくい

2.前職のやり方に固執する可能性がある

3.待遇の決定が難しい

 

2000年のアトランタオリンピックで活躍した城選手は絶対反対、というスタンスでした。

気持ちは凄い分かります・・。

元日本代表FW城彰二が五輪のオーバーエイジ枠に持論!「絶対反対」「ふざけんなって話」 | サッカーダイジェストWeb
サッカーダイジェスト、ワールドサッカーダ...

 

1.企業文化になじみにくい

サッカーの五輪代表に選ばれるような選手は中学・高校生の頃からライバルとして意識しあいながら、チームとしても協力しながらU-18、U-20などのカテゴリを戦ってきました。

U-23(今回はコロナのためU-24)は世代別代表の最後の戦いとなるわけです。

 

社会人の話でいうと、仲間が最後の最後で、すでに実績と名声のある先輩に代わってしまうという感じですね。

若手からすれば、あなたはすでに活躍していいチームに所属しているんだからこれ以上成果上げなくてもいいでしょ。若手にチャンスをくださいよ!という感じですね。

当然、苦楽を共にしてきた戦友がいなくなってしまうので心理的には簡単には受け入れられにくいものがあります。

 

 

その点、12年ロンドンオリンピックのOAの吉田麻也選手はOAだけれど、最年長世代とは同学年でもあったため、入りやすかったと言われています。

 

そして、今回の選出はフル代表で富安選手と組んで連携も不安のないDFを中心に選んでいるのも組織に自然に融和させる狙いが感じられます。

 

2.前職のやり方を持ち込む

中途採用者は築いてきたキャリアに誇りを持っていることも多く、前職での成功体験に縛られることや取り組み方を持ち込もうということは多く見受けられます。

今回はオリンピック代表とフル代表が同じ森保監督なので、前職のやり方=現職のやり方になります。

俺達には俺たちのやり方があるんだよ!と若者が突っぱねようとしても、オーバーエイジのほうがその「やり方」に関して詳しかったりするわけです。

このあたりは森保監督の人材配置の手腕が感じられますね。

 

3.入社時の待遇の決定が難しい

中途採用者は自社については知らないことも多いので、待遇に関しては少し迷いますよね。年齢はかなり上だけど業務未経験という可能性もあるので。

サッカーの五輪代表の場合は能力は明らかに上なので、待遇として困るケースはリーダーをどうするかという問題でしょうか。これまで、同世代のリーダーだった人がどうなるか。オーバーエージが組織を引っ張るか。

個人的には若者の育成のため、U-24世代のメンバーのフォローに回ってほしいと思います。

企業活動でもベテランは出来るのは当たり前、組織の底上げを図ってこそかな、と思います。

 

おススメ書籍

今回のオリンピック代表の最大の注目選手である久保建英選手。

その親が書いた本なのですが、私はサッカー日本代表の選手関連の書籍はほとんど読んでいますが、この本は特におススメです。

サッカー選手の生い立ちを知るつもりで読んだところ、子育てやコーチングに関してのビジネス本を読んでるような感覚でした。外遊びや読書にもしっかりとした考えを持っていて学ぶところが多かったです。

ちなみに久保選手はバルセロナ(通称バルサ)に小学生のころから加入し、その後ライバルチームのレアルマドリッドに移籍しました(笑)  ※現在レンタル移籍中

まとめ

さて、趣味全開の「オーバーエイジから考える組織論」に付き合っていただきありがとうございました。自分の関心のある組織から考える組織論も面白いものですね。

私としては、選ばれたメンバーが責任をもって全力を尽くし、最高の結果を出せば選外になってしまったメンバーも少しは納得してくれるのではないかと思います。

 

はじき出されたメンバーも別の組織で著しい結果を出すことで、見返すこともできます。

どちらにしろ、与えられた環境の中で最大限頑張るしかない!ってことです。

 

今日も頑張りましょう!

 

 

 

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