戦略が良いのか悪いのか、判断をする基準はどこにあるでしょうか。
選んだ戦略がベストだったかどうか、これから選ぶ戦略がベストかどうか・・。
考えればもっと良い戦略が出てくる可能性は十分ありますが、
自分で良し悪しが判断できるようになるポイント、『戦略の4S』を簡単に紹介します。
戦略の基本的な概念の整理
会社で様々な目的を達成させるためには
目的 → 戦略 → 戦術 の順番に考える必要があります。
戦略は一般的には、特定の目的を達成するために、長期的視野と複合思考で力や資源を総合的に運用する、進むべき方向性やシナリオのことです。
もっと簡単に言うと
戦略は「目的を達成するための資源配分の選択」
戦術は「戦略を実行するための具体的なプラン」
となります。
戦略は、売上を上げたい、シェアを獲得したい、認知度を上げたい、など様々な目的のために
どの市場に対し、どのようなターゲットに、どのようなポジションを取りにいくか、などの方向性を練ることであり、
戦略を実行するための具体的なプランが戦術になります。
しかし、戦略を深く考えていなくても戦術が当たることもあります。
例えば、多様なジャンルで多数の商品開発をしていたらどれかが当たるというケースや
片っ端から電話セールスや飛込訪問をしていたらつながったケースなどです。
そのようなケースを考えると具体的なプランである戦術のほうが戦略より大事、と考える人も出てくると思います。
戦略と戦術のどちらが大事か
具体的なプランである”戦術”さえよければ一時的な成功は収めることが出来るかもしれません。
しかし、戦略が大事と言われるのは
優れた戦術があれば結果は出るかもしれませんが、
長期的に見て間違った方向に突き進んでしまう可能性もあるためです。
例えば中小企業がコストリーダーシップ戦略を取り、仕入原価を下げるために大量発注をするとします。営業担当者の努力で一時的に大量販売が可能になって収益が上がる可能性はありますが、
大企業の参入でコスト面での優位性が取れなくなり途端に苦境に陥るケースです。
具体的な事例: ペットドットコム
ネットショッピング黎明期の2000年、毎年1万人が注目するビッグイベントであるスーパーボウルで、「ネット注文すればペットを自宅に置いて寂しい思いをさせなくてすむのに」という趣旨のCMを流し、CM好感度ランキング1位を獲得。新規公開株で多額な資金を調達し積極果敢なマーケティングを進め先行者のメリットを狙ったそうです。
しかし現実的にはペットフードを購入するためにわざわざネットショッピングを始めようと思う人は少なく、配送のための在庫など固定費がかさみ、そもそも地元のスーパーとの競合になるので利幅が薄い商品であったことから結果的にIPOから9か月でのスピード破産という結果でした。
そもそもの選択する戦略で間違ってしまうと、戦術が優れていて一時的に成功を収めたとしても長期的には失敗する可能性が高いため、取るべき戦略を見極めることが重要になります。
極論を言うと、正しい戦略をとっていれば戦術面で失敗をしたとしても、「成功しない方法を確認できた」と考えられます。

戦術面で成功したとしても長期戦略で考えると撤退する機会を逃したことになるかもしれないということですね。
カジノを考えるとイメージしやすいかも。苦笑
では本題である、良い戦略かどうかを見極める4つのSについて考えてみましょう。
Selective 選択的かどうか
やることとやらないことを明確に区別できているか。
貴重な経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を投下するために、
何が必要で何が必要じゃないかを明確にすることが出来ればその戦局で勝つ確率が上がります。
経営資源の少ない中小企業の戦略では必須の考え方ですね。
少ない経営資源を分散させてしまうとどの局面でも勝てずに全敗してしまうこともありますが、
勝てる戦場を見つけて資源を集中投下すれば勝てる可能性が上がるし、実績を積むと次の仕事につながったりその分野の第一人者となることでさらなる需要が生まれたりします。
市場の選択、ターゲットの選択、ポジショニングの選択など、選択の重要性は大きいですね。
Sufficient 十分かどうか
戦略によって投入されることが決まった経営資源がその戦局での勝利に充分であるかどうかということ。Selectiveと密接な関係があり、”選ぶ”ことで経営資源を十分にする必要があります。
「営業要員やスタッフが十分かどうか」は「どこの店舗を残すか」という選択と密接にかかわるからと考えると分かりやすいですね。
Sustainable 継続可能かどうか
短期的でなく中長期的で維持継続できるかという視点。
継続可能なほど競争優位を維持できるので良い戦略となります。
経営資源が枯渇しないようになっているか、模倣困難性があるか、
5フォースの観点も大事ですね。5フォースとは
①新規参入の脅威 他社が参入してきてもシェアを維持できるか
②代替品の脅威 CDに対するMD、MDに対するipodなど 取って代わられる商品が出る可能性
➂買い手の交渉力 大量購入してくれるから売上依存しており値下げ交渉をされる、など
④売り手の交渉力 仕入先が他になく、言い値で仕入れるしかない状況でないか
⑤既存企業のポジショニング争い 競合他社と比較をして優位な立場か
代替品に関してはイノベーションに関して書いた下記の記事もお勧めです。

Synchronized 自社の特徴との整合性は
自社の特徴(強みと弱み、経営資源の特徴)を有利に活用できているか
自社の強みを活かした戦略のほうが成功率は高く、特に競合企業と比較して自社の強みが相手の弱みにあたるような戦略が勝つ確率が上がります。
SWOT分析(強み・弱み・機会・脅威)とSTP(セグメント・ターゲット・ポジショニング)の考えとなりますね。参考になる記事は下記になります。

まとめ
Selective 選択的かどうか
Sufficient 十分かどうか
Sustainable 継続可能かどうか
Synchronized 自社の特徴との整合性は
以上が戦略の4Sになり、これらの条件がそろっていると成功率が高いと言われております。
読んでいただきありがとうございました。