【マーケティング】ラディカル・イノベーションとは? 破壊的イノベーションとの違いは? どのような事例があるの??

『ラ行』の用語

今回は新商品開発などには欠かせない、イノベーションの考え方とイノベーションに関する事例をいくつか参考になると思いまとめてみました。

私が過去に印象に残ったイノベーションを中心に描いたので30代~50代くらいの男性が共感してくれる気がします。

 

イノベーションに関する定義や事例を理解をしておくと、新規ビジネスを考えるときに役に立つはずですよね。

 

イノベーションの定義

イノベーションとは、オーストリアの経済学者であるシュンペーター(1883-1950)の理論です。

「経済を動かす原動力はイノベーションである」

「そしてその主体は他でもない『企業家』というヒトなのだ」という主張です。

 

経済学者なのでイノベーションによる景気循環を説きました。

 

イノベーションは日本語では「技術革新」と訳されがちですが、イノベーションは技術に限ったことではありません。

 

一般に、企業が新たな製品を開発したり、生産工程を改善するなどの技術革新だけにとどまらず、

新しい販路を開拓したり、新しい組織形態を導入することも含み、広く革新を意味する概念です。

 

イノベーションの5つの類型

シュンペーターの理論ではイノベーションとして5つの類型があります。

①新しい製品の開発

②新しい生産方法の導入

③新しい販売先(新市場)の開拓

④新しい仕入れ先(供給源)の獲得

⑤新しい組織の実現

 

そして、マネジメントで有名なドラッカーはイノベーションが起きる機会について語っています。

(ちなみにピータードラッカーのお父さんであるアドルフ・ドラッカーにシュンペーターはお世話になっていたそうです。)

 

ピーター・ドラッカー イノベーションが起きる7つの機会の定義

ドラッカーは『イノベーションと企業家精神』(1985)でイノベーションが起きる7つの機会を定義づけました。1985年に日米同時発行されました。

①予想外のもの
②ギャップ
③ニーズの把握
④産業構造の変化を知る
⑤人口構造の変化
⑥認識の変化(世論)をとらえる
⑦新しい知識

 

『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』でドラッカーが一般の人にも広く知れ渡ったのは有名ですが、その作者、岩崎夏海さんが2015年に続編として

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら』(略称『もしイノ』)を執筆されています。

 

ここからは分類の観点で見ていきます。

イノベーションを実現する内容からの分類

プロダクトイノベーション

新製品・サービスの開発を目指すこと。自動車や半導体、コンピューターなど。

 

プロセスイノベーション

製品やサービスを生産・配送する新しい方法を導入すること。

製造段階で生産性の向上やコストを削減したりします。

トヨタのかんばん方式やフォード生産方式が有名ですね。

 

イノベーションの伝統的な分類軸

シュンペーターやドラッカーなどの伝統的なイノベーションの分類方法は次の2つになります。

インクリメンタル・イノベーション

既存の技術や知識などの延長線上にある改革。既存のものの部分的な改善を繰り返して起こる小刻みな改善。

インクリメンタルイノベーションの具体例をネットなどで探しても見つかりにくいと思います。

それは、部分的な改善なのでイノベーションや改革というより「改良」や「新機能」という言葉がぴったり来るからだと思います。

インクリメンタル・イノベーションの事例

携帯電話でいうと着メロ→ハモメロ→着うた などが該当するのではないでしょうか。

初めてハモメロや着うたを聞いたときは驚いたものです。

 

あとは、缶ジュースのフタ。

昔は下記の写真のプルタブ形式でしたが今のイージーオープンエンドと呼ばれるタイプの缶ジュースを始めてみたときは子供ながら衝撃を受けました。80年代は道に一杯転がっていましたね。

画像 : 【昔は100円で買えた!】懐かしいジュースあれこれ - NAVER まとめ

 

ラディカル・イノベーション

ラディカル・イノベーション(radical inovation)とは

非連続的なイノベーション。抜本的な変革。

これまで存在しない画期的な製品や生産方法を誕生させることが該当します。

 

ラディカルイノベーションの事例

代表的な例ではSONYのウォークマン。

ジョジョの奇妙な冒険でも日本人嫌いのジョセフ・ジョースターが「ウォークマンは好きだがね」というセリフがありますが、

音楽を持ち運ぶという発想、当時としては画期的なものでした。従来、音楽機器は据置タイプの物が主流でしたが、ウォークマンの誕生によって場所を気にせずに音楽を聴けるようになりました。

 

色々調べていたら2019年にウォークマン40周年記念で実物大ウォークマン型ポーチを限定発売していたみたいですね。

数量限定!8種類の実物大ウォークマン型ポーチが8月24日から銀座ソニーパークで販売!ディスクマンやMDウォークマンも | 電撃ホビーウェブ
あなたが愛用した機種もあるかも!?WALKMAN(ウォークマン)40周年を記念した実物大のウォークマンポーチが、8月24日からGinza Sony Parkで限定販売!

懐かしい。。

 

話を戻しますとラディカルイノベーションに関して、

移動手段であれば馬車から自動車への変化、そして所有から共有という変化も起きていますね。

携帯電話・スマートフォンなど、文字通り劇的に生活を変化させるものが該当します。

 

そういえばディオも「自分の時代には馬車しかなかった」と自動車のパワーとスピードを称賛していましたね。(また脱線ですが)

 

 

 

ラディカルイノベーションは劇的な影響をもたらすため、

ラディカルイノベーション=破壊的イノベーションととらえられがちです。

抜本的な変化を起こすイノベーションが起こると、当然、影響を受けてくる企業があり、

その企業の継続性に焦点を当てたのがクリステンセンで破壊的イノベーションになります。

イノベーションの企業の継続性による分類軸

ハーバードビジネススクールの教授であるクリステンセン(1952-2020)は

これまでの伝統的な技術的連続性の有無による分類(インクリメンタルとラディカル)とは別次元の捉え方として、

 

既存優良企業の存続に関する分類を『イノベーションのジレンマ(1997)』で提唱し、

破壊的イノベーションの理論を確立しました。

この本は大変人気があり何度も改訂版が出ています。

持続的イノベーション(Sustaining Innovation)

既存の優良企業の保有する 製品やサービス、それらを生み出すプロセスに関して、

改善するために行うイノベーションのこと。

企業は既存の受け入れられている商品を高度化すれば顧客の維持が見込めるため、

性能や品質の向上に対する競争力を強めることができます。

 

つまり、業界トップで収益性が高い企業ほど持続的イノベーションが効果的で、その結果として固執してしまいます。

 

破壊的イノベーション (Disruptive Innovation)

既存の優良顧客が求めていた価値を別の形で提供することで、

既存市場や業界構造を破壊的に変化させてしまうようなイノベーションです。

 

既存の商品の価値を無くしてしまうようなイノベーションというと分かりやすいでしょうか。

 

クリステンセンは破壊型イノベーションも2種類があるとしていますが、

明確に分割されるものではなく、組み合わさったものが多いと指摘しています。

 

ローエンド型破壊的イノベーションの事例

顧客を徹底的な低コスト戦略で奪っていくようなイノベーションです。

安かろう悪かろうの戦略とも言えますね。

既存市場のローエンド層を獲得したうえで、ミドル層やハイエンド層も獲得していく戦略です。

 

事例としては100円ショップや、初期のユニクロ、初期のPHSも携帯電話の劣化版のような形で一気に広まりました。

 

ユニクロも最初は安さを売りにしており、ユニばれ、ユニかぶりというような言葉が出たくらいでしたが、だんだんと高品質化してきました。今は値段重視ではないミドル層やハイエンド層も使うようになっています。

 

携帯やPHSに関してはネットワークの外部性という、使用者が多ければその恩恵を受けることが出来る業態だったので、性能が悪くてもユーザーが多ければ優位に立つことが出来ました。

 

新市場型破壊的イノベーションの事例

全く新しい市場に進出する、消費のなかった市場に対するイノベーションです。

 

音楽でいえばレコード市場がカセット、CD、MD、MP3、サブスクと次々と新しい市場を生み出し、前の市場の企業を破壊してきました。

スマートフォン市場もデジタルカメラ市場を破壊しています。

昔は営業の外回りは小型の地図が必携でしたが不要になりましたね。

 

今後は3Dプリンターにより多くの製造業が影響を受けそうですね。

 

いつの間にか2万円台から3万円台でも購入できるようになっているみたいで驚きました。。

 

そのうち子供の自由研究で3Dプリンターを使って何か作らせるのも面白そうですね。

 

イノベーションのジレンマとは

企業は持続的イノベーションを繰り返し、顧客の期待にこたえ続けることで収益を上げ続けることが出来る一方で、

その積み上げた市場は顧客の期待を超える価値を生み出した製品に一気に奪われる可能性があります。

 

企業としては既存顧客の声に耳を傾け、大企業と成長していったとしても

新技術に対しての取組や対応を考えておかないと、破壊的イノベーションによって壊滅してしまう可能性があります。

 

写真フィルムからデジタルカメラへの移行期間に、フィルム技術の巨額の収益に固執したコダックは最初にデジタルカメラを開発した会社でもありながら、破綻しました。

デジカメを開発した社員に対し、

 

「面白い、でも誰にも口外するな」だったそうです。

 

デジカメの価値は認めていたけど業界トップで収益性が高かったからこそ、

 

フィルムの需要を喰うデジカメに注力は出来なかったというジレンマの代表例です。

 

 

それに対し、富士フィルムはフィルム技術を深化させながら、化粧品の開発につなげ企業を存続することが出来ています。

新技術に対する柔軟性の重要性が分かりますね。

 

戦後日本のイノベーション100選

企業の技術開発により多くの商品が生まれては消えていきました。

 

公益社団法人発明協会様で戦後日本のイノベーション100選という特集がされていました。

戦後日本のイノベーション100選 一覧
公益社団法人発明協会、創立110周年記念事業、戦後日本のイノベーション100選一覧。

発明協会の集計なのでラディカルイノベーションに関するものが多いですね。

 

りんご「ふじ」やカルピス、「うま味」など、食品関係もあれば、

3.5インチフロッピーディスクのようにまさに我々が目にした破壊的イノベーションにより破壊された市場もあります。

 

この機会に過去を振り替えながらイノベーションに関して考えてみるのはいかがでしょうか。

 

読んでいただき、ありがとうございました。

 

追記:

日本マーケティング本大賞2023は下記の本でした
イノベーションの競争戦略ー優れたイノベーターは0→1か?横取りか?ー

体系的にまとめられており多くの事例も取り上げられてて面白いのでお勧めです!

 

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