ランサムウェア
① 物語性を取り入れた説明: ランサムウェア
ある日、田中さんの小さな会社で、社内のコンピューターが突然、動かなくなりました。画面には「ファイルを解放したければ、お金を払ってください」というメッセージが表示されています。これはまるで、悪い魔法使いに大切な宝物を奪われ、身代金を要求される物語のようです。
田中さんはITの専門家に相談しました。専門家は「これはランサムウェアという種類の悪いソフトウェアだね」と説明します。ランサムウェアは、コンピューターに侵入して大事なファイルを勝手に「ロック」し、それを解除するためにお金を要求する、非常に厄介なプログラムです。
例えば、あなたが大切なアルバムを金庫に入れて鍵をかけたとします。でも、その鍵が突然、見知らぬ人の手に渡ってしまったと想像してみてください。そして、その人が「お金をくれたら鍵を返す」と言ってきたら、どう感じるでしょうか?
これと同じことがコンピューターの中で起こっているのです。重要なデータや写真が突然、使えなくなり、それを取り戻すためにはお金を払わなければならないのです。しかし、身代金を払うことはお勧めできません。なぜなら、お金を払ってもデータが戻る保証はなく、さらに悪質な攻撃のターゲットにされるリスクもあるからです。身代金を払うことは犯罪活動を資金面で支援することにもつながります。
田中さんの会社では、幸いにもバックアップがあり、データを失わずに済みました。これが、ランサムウェアから身を守るために非常に重要な対策の一つです。
ランサムウェアは、被害者のコンピューターに侵入し、データを暗号化することでアクセス不能にした後、復旧のための身代金を要求するマルウェア(悪意のあるソフトウェア)です。
② 実際の事例
ランサムウェアの被害は世界中で報告されており、大企業から地方自治体まで、幅広い組織が対象になっています。例えば、2017年に発生した「WannaCry」ランサムウェア攻撃は、150か国以上の組織に影響を及ぼしました。病院、学校、企業などが一時的にシャットダウンし、大きな混乱を引き起こしました。
自治体では、公共の安全やサービスに直結するため、ランサムウェアの影響が特に深刻です。例えば、ある都市ではランサムウェアにより市のコンピューターシステムが一時的にダウンし、公共交通や警察の通信システムが影響を受けました。このため、市は緊急対策としてオフラインで業務を続ける必要がありました。
企業では、顧客データや財務情報など、重要な情報がランサムウェアによって人質に取られることで、ビジネスの継続に重大な支障をきたすことがあります。データのバックアップとセキュリティ対策が不可欠であることが、このような事例から明らかになっています。
➂クイズや小テスト
クイズ1 ランサムウェアが特に危険なのはどのような状況?
A: 従業員が増えてきたとき
B: セキュリティソフトウェアが更新されていないとき
C: クラウドにデータを保存しているとき
クイズ2 ランサムウェアに感染する主な方法は何ですか?
A: メールの添付ファイルを開く
B: 安全なウェブサイトを閲覧する
C: テキストメッセージを受信する
クイズ3 ランサムウェアによる攻撃を防ぐためにはどうすれば良いですか?
A: 定期的にパスワードを変更する
B: 不審なメールは開かない
C: 毎日コンピュータを再起動する
回答
B: セキュリティソフトウェアが更新されていないとき
A: メールの添付ファイルを開く
B: 不審なメールは開かない
応用情報技術者試験 令和5年秋 問43
