【中学生でもわかるIT用語】ルート集約とは 物語と実際の事例でわかりやすく解説

『ラ行』の用語

ルート集約(経路集約)

① 物語性を取り入れた説明

ユキはネットワークの授業で「ルート集約」という言葉を聞きましたが、何のことかよくわかりませんでした。授業後、ユキは先生に質問しました。

「先生、ルート集約ってどういう意味ですか?」

先生は微笑んで答えました。「良い質問だね、ユキ。ルート集約は、ネットワークの中でデータを送る際、複数の経路情報をまとめて効率化する方法だよ。たとえば、君が転校前の高校の複数の友達に手紙を出すとしよう。」

「うーん、友達がいっぱいいたから大変そうですね。」ユキは言いました。

「そうだね。もしそれぞれのクラスの友達に個別に手紙を出すと、たくさんの手紙を書いて、それぞれのクラスに配達しなければならない。でも、クラスごとにまとめて手紙を出せばどうだろう?一度にまとめて配達することで、先生に渡してもらうのが楽になるよね?」

「それなら簡単ですね!」とユキは納得しました。

「ネットワークでも、同じ考え方を使うんだよ。たくさんのデータがいろいろな経路を通ってルーターに届くけど、それを一つ一つ管理するのは大変だ。そこで、近い経路をまとめて一つにすることで、ルーターが効率的に管理できるんだ。これがルート集約なんだよ。」

「具体的にはどうやってIPアドレスを集約するんですか?」とユキはさらに質問しました。

先生は黒板に例を書きながら説明を続けました。

「たとえば、君のネットワークで『192.168.1.0』から『192.168.1.255』までのIPアドレスを使っているとしよう。それぞれのIPアドレスを個別に処理すると、ルーターは0~255で256個のルート情報を管理しなければならない。」

「それは多いですね…。」ユキは驚いた様子です。

「でも、これを『192.168.1.0/24』という形に集約すれば、一つのルートとしてまとめられるんだ。『/24』というのはプレフィックス長といって、IPアドレスのどの部分がネットワークアドレスかを示しているんだ。具体的には、IPアドレスは32ビットで表されていて、そのうち最初の24ビットがネットワークアドレスを指している。これで『192.168.1.0』から『192.168.1.255』までの256個のIPアドレスを一つに集約できるんだよ。」

ネットワーク部は、そのIPアドレスが属しているネットワークを識別するための部分で、
ホスト部は、ネットワーク内のコンピュータを識別するための部分でしたよね。32ビットで表されててそのうち最初の24ビット、というのがよくわかりません。」とユキはさらに聞きました。

「いい質問だね、ユキ。『192.168.1.0』を2進数で表すと、32桁のビットに変換できるんだ。それぞれの数字を8ビットにして並べると、
『192』は『11000000』、
『168』は『10101000』、
『1』は『00000001』、そして
『0』は『00000000』になる。

だから『192.168.1.0』を2進数で表すと、こうなるんだ:

11000000 10101000 00000001 00000000
│←   ネットワーク部    →│←ホスト部→│

これがIPアドレスを2進数で表したものだよ。プレフィックス長『/24』は、最初の24ビットがネットワークを表していることを意味していて、残りの8ビットがホスト部分だね。」

「なるほど!たくさんのIPアドレスを一つにまとめて管理できるんですね。」とユキは理解を深めました。

「そうだよ。これでルーターの負担が減って、ネットワークがもっとスムーズに動くんだ。特に大規模なネットワークでは、こうした集約が通信を効率化するためにとても大切なんだよ。」先生は微笑みながら答えました。

ルート集約の定義

ルート集約」とは、ネットワーク上で複数のルート情報(例:IPアドレスの範囲)を一つにまとめ、ルーティングテーブルのエントリー数を減らして、ネットワークの効率を向上させる技術です。


 

② 実際の事例

ルート集約は、企業や自治体が大規模なネットワークを効率的に運用する際に非常に有効な技術です。たとえば、多くの支社や支店を持つ大企業では、各拠点がそれぞれ独自のネットワークを持っており、それらのネットワークを本社のデータセンターと接続してデータをやり取りしています。

各拠点が使用するIPアドレスを個別にルーティングする場合、ルーターは非常に多くのルート情報を管理しなければなりません。たとえば、各拠点が異なる範囲のIPアドレスを持っていると、ルーティングテーブルにはそれぞれのルートが追加され、ネットワークの負荷が増加します。

そこでルート集約が役立ちます。たとえば、複数の拠点が「10.0.0.0/24」、「10.0.1.0/24」、「10.0.2.0/24」といったIPアドレスを使用している場合、それらをまとめて「10.0.0.0/22」という一つのルートとして集約できます。これにより、ルーティングテーブルのエントリー数が減り、ルーターの処理が簡単になり、ネットワーク全体のパフォーマンスが向上します。

自治体でも、複数の施設や支所間でのネットワーク接続を効率的に行うためにルート集約を使用しています。特に、広域ネットワークでは、個々の施設のルート情報を集約して一つにまとめることで、ネットワークの複雑さを減らし、管理コストやトラフィックの効率を改善しています。


③ クイズや小テスト

クイズ1 ルート集約の目的は何ですか?

A. 複数のルートを一つにまとめて効率化する
B. ルート情報を増やして複雑化する
C. ルーターの設定を増やすため

クイズ2

次のIPアドレスを集約する正しい方法はどれですか?
「192.168.10.0/24」と「192.168.11.0/24」

A. 192.168.0.0/16
B. 192.168.10.0/23
C. 192.168.0.0/24

クイズ3 ルート集約が特に役立つのはどのような場面ですか?

A. 小規模ネットワークでの簡単な通信
B. 大規模ネットワークでのルート管理の効率化
C. インターネットの閲覧速度を向上させるため


回答

  1. 正解:A
  2. 正解:B
  3. 正解:B

応用情報技術者試験平成24年春 午前問34

応用情報技術者平成24年春期問34 IPネットワークの集約

コメント

タイトルとURLをコピーしました