ソーシャルマーケティングとは?
もしかするとSNSを活用するマーケティング(SNSマーケティング)と誤って認識をしている人もいるのではないでしょうか。
今回は、ソーシャルマーケティングの概要をざっくりとお伝えしていきたいと思います。
ソーシャルマーケティングの2つの大別
ソーシャルマーケティングは1971年にフィリップ・コトラーによって提唱されました。従来の顧客のニーズに合った製品やサービスを買ってもらうためのマーケティングではなく、社会が求めている考え方や理念、行動指針への認知と理解を上げ、社会に浸透させるためのマーケティングと言えます。
ソーシャルマーケティングは大きく分けて2つに大別されます。
コトラーは従来のマーケティングを非営利組織にも応用しようとしました。それに対し、ウィリアム・レイザーは従来のマーケティング行動が社会的対応が欠如していたという反省から、社会的利益に対する取り組みを評価しようとする考え方です。
① 非営利組織のマーケティング (コトラー)
② 社会志向のマーケティング (レイザー)
①非営利組のマーケティング
営利企業を対象として開発されたマーケティング技術(4Pや3C、SWOTなど)を非営利組織にも適用しようとするものです。非営利組織とは、行政機関・学校・病院・美術館・教会などの営利目的を前面に出しにくい組織です。営利目的を前面に出しにくいこともあり、非営利組織のマーケティングの難しさは消費者ニーズの把握が困難であることになります。
営利企業の場合は消費者ニーズが把握しやすいが、非営利企業の場合は無関心層またはマイナスの感情である場合もあります。そのような、無関心やマイナスの感情を持つ消費者ニーズに対して重要なことは何でしょうか。それは・・”コンセプト提案”を行うことです。
具体的には、、大学であれば基本理念、たとえば「進取の精神 学問の独立」
病院であれば「患者様と同じ目線に立った医療」などです。
非営利組織のマーケティングの成功のためには、長期的視点でコンセプト提案を粘り強く行うことで、適切なプロモーションにより、細分化したターゲットに働きかける必要があります。
②社会志向的マーケティング (Societal marketing)
ソーシャルマーケティングの2つ目は社会志向的マーケティングです。自社の利益中心にマーケティング活動を行うのではなく、社会全体との関係・社会的影響力を考えながらおこなうマーケティング手法で、ソサイエタルマーケティングとも呼ばれます。
ソサイエタルマーケティングは企業の社会責任や社会貢献などの社会的な視点を企業の意思決定に反映させていこうとするマーケティングアプローチのことで、社会責任のマーケティングと社会貢献のマーケティングに分類できます。
1)社会責任のマーケティング (本業)
社会責任のマーケティングは企業に対する社会的な批判に対応する形で生まれました。工業廃水や排気ガスなど環境破壊の問題などが分かりやすいはずです。企業の社会的責任は過去と比べ明らかに大きくなってきています。社会志向のマーケティングは「社会責任のマーケティング」から始まっています。
●事業遂行における法令順守 ・・・当たり前ですね。
●製品の安全性などを追及する企業の責任 ・・・事故やケガにつながる配慮をしない企業は駄目ですよね。
●ISOなどの環境管理 ・・・昔は公害を引き起こすような企業も多く存在しました。
●ディスクロージャー(情報公開) ・・・企業の透明性を打ち出して信頼を得ることが出来ます。
現在の大企業には当たり前になっていることばかりですね
コーズリレーテッドマーケティング
売上によって得た利益の一部を社会貢献の目的で寄付をすることで、企業イメージの向上や売上の増加を目指すマーケティング手法です。詳しくは下記記事をご参照ください。
グリーンマーケティング
企業による、「地球環境に配慮した商品開発」や「生態系を保護し資源を節約する消費活動の推進」などを組み込むマーケティング手法です。
2)社会貢献のマーケティング
本業以外の活動によって社会貢献を果たしていこうとする考え方で、社会責任のマーケティングから1歩進んだマーケティングになります。
社会貢献のマーケティングの例はフィランソロピー(慈善行為)やメセナ(文化支援)などがありますが、企業は利益を追求する前に良き市民であるべきという 企業市民(コーポレート・シチズンシップ)という概念に基づいています。
フィランソロピー
フィランソロピーとは人々のwell being(幸福、健康、クオリティオブライフ)を改善することを目的とした慈善活動を差します。ギリシャ語のフィロス(愛)とアントロポス(人類)を語源としており、「人類を愛すること」という意味があります。
フィランソロピーを実践している人はフィランソロピストと呼ばれ、日本では篤志家(とくしか)と呼ばれてきました。ソフトバンクの孫さんや元ZOZOの前澤友作さんが寄付などをする際にニュースで篤志家と表現されることもありますね。海外ではロックフェラー、カーネギー、ビルゲイツなどの寄付活動は有名です。マイケル・ジャクソンも最も多くの慈善団体に寄付したとしてギネス世界記録に認定されています。
企業によるフィランソロピーは従来は寄付を募るチャリティ活動やボランティアなどの社会貢献活動が中心でした。しかし昨今ではSDGs機運の高まりにより、投資による金銭的リターンと社会課題解決を両立するフィランソロピーが世界的に主流になってきました。
日本フィランソロピー協会のHPでは企業取り組みを評価するのフィランソロピー大賞なども実施しております。https://www.philanthropy.or.jp/
フィランソロピーの活動の一つにメセナがあります。
メセナ
フランス語で芸術文化支援のことです。資金不足で満足のいく文化活動や芸術活動が出来ない個人や団体の活動資金を提供します。芸術文化支援のビジネスによって得た収益を社会に還元させる活動です。
欧米ではメセナは日本より早く広まっており、1967年にアメリカで企業芸術擁護委員会(BCA)、1976年にイギリスで芸術助成協議会(ABSA)、1979年にフランスで商工業メセナ推進協議会(ADMICAL)など団体が生まれました。
日本では1988年の日仏文化サミットをきっかけに広がり、翌1989年に大塚製薬がマンガを用いた健康本である「漫画ヘルシー文庫シリーズ」が企業メセナ第一号となりました。
バブル時代にあった高額な海外を購入したり美術感を作るなどの動きもメセナの活動の1つです。
今では派手な活動は減りましたが下記のように多様な支援の形が増えてきています。
2022年はウクライナの文化を支援するチャリティーコンサートなども多く開かれました。
□ コンクール主催・入賞者に援助 □ 支援財団設立
さいごに
いかがでしたでしょうか。
SDGsに関する意識が高まるにつれ、ソーシャルマーケティングの注目度も上がってきております。
ソーシャルマーケティングとは?ソサイエタルマーケティングとは?グリーンマーケティングとは?など、ごっちゃになりそうなことを整理していただければ幸いです。
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