モノづくり大国ニッポン!という言葉は”過去の栄光”なのでしょうか。
いまや日本の製造業は2割弱に過ぎなくなってしまっており、サービス産業はGDPベースでも従業員ベースでも7割を占めております。そしてサービス産業は拡大傾向にあり経済産業省も様々な後押しをする施策を取り組んでおります。
拡大が見込まれる産業ならば、サービスに関するマーケティングをしっかりと認識しておいたほうがいいですよね。
今回はサービスマーケティングに関して、従来のマーケティングとの違いなどを踏まえながら解説していきたいと思います。
◆サービスマーケティングの概要 7Pとは
昔は良い製品を作れば売れる時代でした。モノが飽和するにつれて製品が良いだけでは売れなくなり、付加価値として保障や修理などアフターサービスなど重要性が高まったり、IT技術の進化により様々なサービスが生み出されてきています。
形がある商品である”有形財”を対象に発展した4P(製品、価格、流通、プロモーション)を活用したマスマーケティングの時代から、情報や金融、飲食業、旅行業、など様々な分野で形のない「サービス商品(無形財)」を対象としたマーケティングのノウハウが求められる時代へと変化をしてきたと言われています。
マーケティングの4Pは非常に有名で、過去の記事でも4Pと4Cの違いについて書かせていただきました。

製品(product) 価格(Price) 流通(Place) プロモーション(promotion)の4つのPの組み合わせをマーケティングミックスといい、企業のマーケティングの個性が出るところ、という話でしたね。
サービス業の7Pとは、この4Pに加えて
・物的証拠(Physical evidence)
いわゆるサービスが提供される「場」の条件です。良いサービスでも場所が悪かったら満足度は低くなります。
具体的には飛行機の座席やレストランの内装、外見、食器類など「場」を彩るものがフィジカルエビデンス(物的証拠)にあたります。
・プロセス(Process)
サービスが提供されるまでの過程です。迅速にサービスが提供されるか。予約から入店、支払いに至るまで満足のいく雰囲気が提供出来ているか。バラツキのないサービスが提供される仕組みが出来ているか。などが重要になります。
・人(People)
サービスを提供するスタッフの質が提供するサービスの品質に大きく影響し顧客満足度につながります。人材が重要になるため、適切な人材の確保、モチベーション向上、能力向上の3点が企業の課題になります。
以上、Physical Evidence , Process , People の3つをPを足したマーケティングの7Pがサービス業で顧客のニーズにこたえていくために必要とされています。
そして、7Pを検討する際は”サービスならではの特性”を踏まえて検討することが肝要となります。
では、”サービスならではの特性とは何でしょうか。
◆サービスの特性
①無形性/非有形性
サービスは購買の前に見たり触ったりできないという特性があります。形が無いため事前に品質を把握することが出来ないため、売り手と買い手のコミュニケーションが購買の決め手となります。
②同時性/不可分性
サービスは提供されるその場に購入者(利用者)がいて、サービスの生産と消費が同時に行われます。当たり前のことのように聞こえますが、家電など有形物は生産される工場から卸・小売など流通を介して消費者のもとに提供されます。
➂非均一性/変動性
いつ・誰が・どこで、どのように提供するかによりサービスの質が変わることがあります。同じ美容院やマッサージでも従業員によって品質が異なることはイメージしやすいと思います。
④消滅性/非貯蔵性
ホテルの客室や航空機の座席など、サービスは貯蔵しておくことができないという特性があります。
販売しなければ1円にもならないけれど、割引料金で提供するとブランド価値が下がったり内的参照価格(値ごろ感)が下がり通常料金では販売できなくなります。
需要の変動性
サービスの需要は有形財に比べ一般的に繁閑の差が激しいです。特に旅行関係など季節や休日に大きく影響されます。
ファストパスなど予約システムの導入 ピーク時のスタッフ増員など
取引の不可逆性
サービスは返品することが出来ないことも大きな特徴です。マッサージが終わった後に返品することはできないですし、髪を切ってもらった後に元に戻すこともできません。
まとめ
・サービスのマーケティングには有形物のマーケティングの時に使う4Pではなく7Pが大事
・サービス業の特性を考えることで改善すべき方法が具体的に考えられる。
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