団体旅行で選ばれるホテルとは。
有名ホテル・旅館のキャッチコピーの記事が公表を頂いているため、改めて団体旅行で選ばれるホテルになるためのノウハウを記載していきたいと思います。
この記事は宿泊など観光業に従事している人や団体旅行の幹事役の人などに対しての記事になります。
私は団体旅行を15年以上担当し、その後プラン造成のコンサルなどをしてきました。
さて、早速ですが団体旅行で選ばれるホテルになるには?の結論は
ホテルの強みを短文でアピールできることです。
一言でいうとそれだけなのですが、幹事側の思考・旅行会社の思考から考えてみましょう。
幹事側の思考
団体旅行の幹事を担当したことはありますか?旅行に対する会社の姿勢で「どこからどこまでの範囲を幹事に任せるか」にもよりますが、旅行幹事は多様な業務があります。
その中でも旅行出発日やホテル選定までも幹事任せになるケースは本当に大変です。
旅行日程が確定していればよいのですが、複数日程の中から選ぶパターンや時期も含めて検討するパターンもあります。幹事の数ある業務の中でもホテルを選ぶ業務というのは大事な要素になります。
ホテルというのは旅行のグレードを如実に表すものであり、旅行の中でも最も印象に残りやすいものだからです。(当たり前のことに聞こえるかもしれませんが)
幹事が恐れるのは失敗。参加者からのクレーム(^—^;)
有名な観光地を入れておけば、観光地に対してクレームを入れてくる人はほとんどいません。
「あの有名な〇〇は実はあまり大したことが無い」、と感じたとしても有名な観光地に行けたということで満足していただけることが多いからでしょう。
しかしホテルは違います。ホテルが悪かった場合はクレームになりやすいですし、なぜそのホテルを選んだのかと幹事に問いただすこともあります。
そのため、幹事はなぜ多数あるホテルの中からそのホテルを選んだのか、理由が欲しいのです。
旅行会社側の思考
団体旅行に関してはホテル側はお客様に売り込むよりも旅行会社に売り込んだほうが効率的なケースが多いです。
理由は・・・ホテル側にとって企業は定例のビジネスイベントではない限り、高頻度のリピーターになる可能性が低いためです。
一方で、旅行会社の営業担当者との関係性を作っておけば、他のお客様にも提案をしてくれるようになります。昔ながらの手法ではありますが、ホテル側に人間関係作りがうまい営業担当がいる場合は旅行会社との関係を強化するのも良い手法の一つです。旅行会社の営業担当者も忙しいので提案し慣れたホテルや観光を案内しがちです。
とはいえ、多くの旅館・ホテルの営業担当者がいる中でこれまで旅行会社営業をしていなかったのに急に関係性を築くのは難しいかもしれないので、まずは団体予約が入った旅行会社から関係強化を狙っていくのが良いでしょう。
旅行会社に選ばれるためのポイント
つぎは、どのように旅行会社に選ばれやすくするかについて考えていきます。
1.信頼感・安心感 大型案件をお願いしても安心であること
東京案内所など旅行会社向けの専任の営業担当をつけることや、宴会セールス担当を設けること、
など団体受け入れに慣れていることを示すことが大事です。
「団体予約に慣れていないホテル」と旅行会社に感じられてしまうと旅行会社側の負担が多くなるということを直感的に悟って回避されてしまうことになるでしょう。旅行終了後に「団体むきの旅館ではなかった」というお客様からのクレームも負担に含みます。団体対応も慣れている旅館ということを印象付けましょう。
HPに団体幹事用の資料をダウンロードできるようにしておくこともお勧めです。宴会場レイアウトやツアーデスク設置個所など、必要になりそうな資料はHPに旅行会社向き資料として掲載してしまいましょう。。旅行会社の営業担当者がダウンロードして勝手に進めてくれるので大きな時間削減にもつながります。
2.特徴(強み)を分かりやすくすること
幹事様と同じように旅行会社側も幹事様に提案する理由を求めています。
何故なら、数あるホテルの中から選ぶのは大変ですし、幹事様に提案理由する理由が無いと困るケースがあるからです。

今回ご提案させていただくのは〇〇温泉の旅館●●です。

なんで旅館●●なんですか?
なぜ、旅館●●を提案してくれるのか。。。旅行会社が回答する内容のイメージは出来ておりますでしょうか。
提案してもらうためには特徴を作り出さないといけません。
・特徴が伝わりにくい例
特徴が伝わりにくい例としては主観が入りやすいタイプのものが注意が必要です。
「それってあなたの感想ですよね。」と言われてしまうと弱いものです。
一番多いパターンは「料理自慢のホテルです。」という売り文句です。料理に力を入れているのは本当である可能性が高いかもしれません。しかし、どのホテルも食事をおいしくしようと努力するし、旅行者側はおいしい食事はある程度は前提条件になっているため、提案する理由としては弱いです。
・特徴の作り方 食事の場合
ではどう食事の売りをアピールするかを考えましょう。
・料理長で売るパターン「ミシュラン1つ星の〇〇で修業した〇〇」など
・客観的評価を売りにするパターン 「ぐるなびで●位」
など客観的な指標があると提案されやすいです。料理自慢のホテルですと力説されても心配ですからね。
とはいえ、そのような指標はなかなか獲得することはできないものです。ではどうすればよいでしょうか。
簡単なのは特徴のあるメニューや提供方法の演出を作ることです。
ダムが近くにあったらダムカレーなど観光地にちなんだものも面白いですが、
団体旅行だからこそ喜ばれるものもおススメです。マグロの解体ショーや船盛、寿司やたこ焼きのロシアンルーレットなど。飲み比べメニューや担げるビールサーバーを用意するなども面白いです。
メニューをきっかけに、会話が生み出されることが想像できるかどうかを考えてみてください。
「おいしいね」
「おいしいですね」
で終わる会話はどちらかというと望まれていないのではないでしょうか。
旅行代金を支払う企業側はおいしいものを食べてもらいたいという気持ちはもちろんあるのですが、従業員の仲が深まってコミュニケーションが良くなることにも期待していますからね。
最近では「地産地消」などSDGsに関連するワードも抑えておいたほうが良いでしょう。
大企業の中では地域に貢献をする目的も含めて団体旅行を実施するケースもあるので、旅行に使用した金額が地域の産業に直接交換するかを考えるような企業も出てきております。
・宴会場での差別化
団体旅行で欠かせないのが宴会場です。
●広さに関して
宴会場はその地域で一番の広さかどうかが選ばれやすさの上では重要です。小さい宴会場を複数持つよりも分割できるタイプの大型宴会場を持つほうが稼働率を上げやすいです。
キャパオーバーになるとホテル選びの選択肢から外れてしまいます。
もし宴会場に隣接するロビースペースや前室部分も活用して立食形式の宴会が出来るようならばそれも特徴のひとつとして打ち出したほうが良いでしょう。
●設備に関して
大きさや舞台の有無(仮設舞台)だけでなく、コロナ以降はWEBで他会場とつなげるケースも出てくるためWifi環境やスクリーンの有無も重要になってきています。
要望に応えられるように機材をそろえて練習をしておいたほうがいいでしょう。コロナを機に、オンラインでもつながりたいという要望は増加します。
同じエリアの他のホテルと比較をして、天井高がその地域内で高い場合や窓がある場合、景色が良い場合などもアピールしたほうが良いでしょう。
全国のホテルと比較して決め手となる特徴が必要になるケースもあれば、宿泊エリアが決まった後のホテル比較で決め手となる特徴が必要になるケースもあります。
どの領域で戦うかを考えましょう
以前記事を書いた戦略BASiCSの考えをもとに自社のホテルを見直すと良い戦略が見えてくると思います。
A Asset 独自資源は、
S Strength 強み、差別化の軸
C Customer 強みを重視する人はどんな人?
S Selling Message どう伝えれば刺さるか

他にも大浴場や客室、二次会場などいろいろなポイントがありますが、長くなりますのでこのあたりで。読んで頂きありがとうございました。