一流から学ぶキャッチコピー、旅館編です。
今回選んだ旅館は20年12月11日に発表された「第46回 プロが選ぶ 日本のホテル・旅館100選」の上位10施設になります。
この投票、私もプロなので(?)毎年投票していました!、、、が
どうしても大型旅館や東京営業所など営業体制がしっかりしているところが強くなる印象です。
団体向けの旅館は旅行会社社員も添乗業務や研修出張業務で行くことも多く、投票時に名前が思い出しやすいんですよね。
もちろん、いずれも名旅館だと思いますし、私もベスト10のうち6は宿泊させていただきました!
それではHPでどんな言葉を使っているか、見てみましょう。(20年12月10日現在)
1位 加賀屋(石川県 和倉温泉)
和倉の浦に、日本が香るー。
1位はおなじみ、3年連続で和倉温泉の加賀屋です。
「・・・3年連続??」と思われた方は鋭い!
そう、加賀屋と言えば36年連続でプロが選ぶ日本の旅館・ホテルのランキング1位でした。
不動の1位なんだろうと思っていた方も多いのではないでしょうか。
加賀屋のおもてなしは有名で、おもてなしを学ぶ研修プランも人気です。
書籍では『加賀屋の流儀 極上のおもてなしとは』が有名ですね。
会計に関する本で目にしたこともあるかもしれませんが、経営コンサルの小宮一慶さんは著書やブログで加賀屋のサービスをベタ褒めされていました。
小宮さんのブログ 和倉温泉の加賀屋さんはすごい!
さて、本題のキャッチコピーはいかがでしょうか。私としては
「和倉の浦に」 で 「クラ」と「ウラ」で韻を踏んでいる
「日本が香るー。」 で日本一を味わってほしいというニュアンスが含まれているのでは、と感じ取りました。
伝統の~とか和の~とかはよくある表現だと思いますが、「日本が香る」には何か、これぞ日本の代表という自負があるような印象を受けますね。
もちろん、自負するにふさわしい実績とサービス、高いブランドを持つ旅館だと思います!
サービスを学ぶ研修目的で宿泊される団体客も多いぐらいですからね。
2位 八幡屋(福島県 母畑温泉)
人のぬくもりがあり、里のぬくもりがある、母畑温泉八幡屋。
2位は母畑(ぼばた)温泉の八幡屋(やはたや)。
観光業の人以外はご存じない方も多いかもしれません。
「ハチマンヤ」と読んだ人も多いのではないかと思いまうが、まさに八幡太郎義家が見つけたというゆかりの温泉らしく、福島空港の南に車で1時間ほどの位置にあります。
(福島空港の位置がわからない人が多いかもですね)
「人のぬくもりがあり、里のぬくもりがある」
というコピーからも分かりますが、旅館が特におもてなしを重視しているようです。
そして施設部門では全国1位。
私も行ったことがありませんが、加賀屋の連続記録を止めた旅館として関心があるので、是非行ってみたい旅館ですね。
ただ、このベスト10の中では公式HPの魅力が他と比べて地味な印象です。不思議です。笑
3位 稲取銀水荘(静岡県 稲取銀水荘)
伊豆稲取と共に60年、いつまでも変わらない おもてなしの”こころ”
3位は伊豆の稲取銀水荘!
私もかなり前に利用しましたが、眺望の良さや食事のおいしさが印象に残っています。
旅館のグレードは高いのですが、格安プランもよく出るので固定ファンが多い気がしますね。
キャッチコピーはどうでしょうか。
60年、いつまでも変わらない、というところからやはりリピーターへの安心感を狙っているのかもしれませんね。
今は分かりませんが昔は営業の方もかなり代理店営業を通じてリピーター作りに力を入れていた印象です。
4位 白玉の湯 泉慶・華鳳(新潟県 月岡温泉)
<泉慶>
旅ごこちは夢ごこち
記憶に鮮明に刻まれる、珠玉のひとときに身をゆだねて。
<華鳳>
覚えておきたい、一日がある。
4位は月岡温泉の白玉の湯 泉慶・華鳳
ここは昔から美肌の湯としても有名ですね。硫黄含有量が日本で2番目に多く、お湯がエメラルドグリーンで、肌に効く雰囲気がプンプンしてますね。白玉の湯という言葉も「入浴後は白玉のように肌が白くてスベスベになる」という意味から付けられているそうです。
キャッチコピーとしては、泉慶は「白玉」と「珠玉」をかけた言葉選びだと思いますが、
私としては「珠玉のひとときに身をゆだねて。」と後半部分だけにしたほうがインパクトが強くて良いかな、なんて個人的には思いました。あくまで個人的な感想です。
5位 砂蒸し温泉 白水館(鹿児島県 指宿温泉)
なし
5位は指宿温泉の白水館です。いぶすき、って読みます。難読地名の一つとして知られていますね。
素晴らしい旅館なのですがHPを見たところ特に、目立ったキャッチコピーは見受けられませんでした。
砂蒸し温泉、という言葉自体が強力なパワーワードでもありますね。
気持ちいいので未経験の方は是非!
6位 水明館(岐阜県 下呂温泉)
飛騨川沿いにたたずむ4つの館「水明館」。
日本三名泉の一つ、滑らかで柔らかい「美人の湯」下呂温泉に、
飛騨の旬、和の粋感じる優雅な空間を、どうぞあなたの思い出に。
6位は下呂温泉の水明館です。
下呂温泉は草津、有馬と並ぶ日本三名泉の一つと言われていますね。
1000㎡の宴会場を持つ大型旅館です。
コピーはどちらかというと機能説明的なコピーですね。
7位 ホテル櫻井(群馬県 草津温泉)
芯からのくつろぎを
7位は天下の名湯、草津温泉のホテル櫻井です。
草津温泉は自然湧出量が日本一!
草津温泉と言えば「恋の病以外、効かぬ病はない」というほどの温泉力、効能ですね。
「芯からのくつろぎを」というキャッチコピーにも唯一無二の草津温泉の効能を意識している気がします。
草津温泉は本当に凄いんですよね。芯からのくつろぎを、という言葉に、なるほどー、と思いましたし私としては旅館部門ではこのコピーが一番好きですね。また行きたいと思いました。
8位 ゆのくに天祥(石川県 山代温泉)
なし
8位は 石川県山代温泉の ゆのくに天祥です。
キャッチコピーとして扱うか迷いましたが、
豊富な湯量と鮮度を誇る天然温泉で、趣の異なる3つの大浴場で「一泊三湯十八ゆめぐり」を売りにした旅館です。
というよりも、「ゆのくに天祥」という旅館名自体がキャッチーですよね。
9位 ホテル鐘山苑(山梨県 富士山温泉)
庭園と感動の宿 富士山温泉
9位は 山梨県富士山温泉の鐘山苑です。
鐘山苑の冬、湯煙に抱かれて
この冬、いちばん心がぬくもる場所
季節限定のこのコピーもいいですね。
鐘山苑と言えば2万坪の広大な庭園。
庭園と感動の宿、富士山温泉というワードには
自慢の庭園のアピールと富士山の近くで温泉も入れるというアピールを狙っているのでしょうね。
10位 匠のこころ吉川屋(福島県 奥飯坂穴原温泉)
ココロとカラダにやさしい宿 ~温泉の女神ココカラ宣言~
(2020年の180周年のキャッチコピー)
さあ、最後10位は福島県奥飯坂温泉の匠のこころ吉川屋です。
まず180年という歴史が凄いですね。と思って調べてみたら日本で創業が最も古い旅館は宮城県の「時音の宿 湯主一條」みたいです。
さて、温泉の女神?って思いましたよね。
奥飯坂温泉穴原温泉は「かむろみの郷」と呼ばれており「川の女神様の郷」という意味です。
旅館の強みである名称の由来などをキャッチコピーに生かして活用しているみたいですね。
キャラクターを活用した展開を狙っているのも今どきでいいと思います。
最後に
いかがでしたでしょうか。
各旅館のこだわりの言葉選び、面白いですね。
ホテル編は下記になります。

キャッチコピーの基本は下記の本が基礎を網羅的に学べておススメです。