【中学生でもわかるIT用語】可変長サブネットマスクとは 物語と実際の事例でわかりやすく解説

『V』から始まる用語

可変長サブネットマスク(VLSM: Variable Length Subnet Mask)

① 物語性を取り入れた説明

アキコはネットワークの授業で「可変長サブネットマスク(VLSM: Variable Length Subnet Mask)」という言葉を耳にしましたが、どのようなものかよくわかりませんでした。授業後、アキコは先生に質問しました。

「先生、可変長サブネットマスクって何ですか?」

先生はにっこりと答えました。「良い質問だね、アキコ。ネットワークでは、IPアドレスを効率的に使うために『サブネットマスク』というものを使うんだ。でも、すべてのネットワークが同じサイズではないよね?たとえば、大きなネットワークもあれば、小さなネットワークもある。そのために、可変長サブネットマスクという考え方が必要なんだよ。」

「でも、サブネットマスクって決まったものじゃないんですか?」アキコは不思議そうに聞きました。

「いい質問だね。昔は固定されたサブネットマスクが使われていたんだけど、それだとIPアドレスが無駄になってしまうことが多かったんだ。たとえば、ある部屋に10人しかいないのに、100人分の机を用意するような感じだよ。そこで、ネットワークの大きさに合わせて、使うIPアドレスの範囲を自由に設定できるのが可変長サブネットマスク(VLSM)なんだ。」

「じゃあ、必要な分だけIPアドレスを使えるってことですね!」とアキコは理解を深めました。

「その通り。たとえば、あるオフィスで大きな部署には大きなIPアドレス範囲を、小さな部署には小さな範囲を割り当てることで、無駄を減らすことができるんだよ。もう少し具体的に説明するね。

たとえば、ネットワークが『192.168.1.0/24』だとすると、これは256個のIPアドレスを使える大きなネットワークなんだ。でも、小さな部署にはそんなに多くのアドレスは必要ないよね。そこで、『192.168.1.0/28』という風にすると、16個のIPアドレスだけを使う小さなネットワークにできるんだよ。

ここで少し2進数で考えてみよう。IPアドレスは32ビットの2進数で表されるんだ。『192.168.1.0』というIPアドレスを2進数で表すと、次のようになるよ。

19211000000 (128が1つ、64が1つ、32,16,8,4,2,1が無し)
16810101000
100000001
000000000

だから、『192.168.1.0』は2進数で表すとこうなる:

11000000 10101000 00000001 00000000

ここで、『/24』というのは、最初の24ビット(上の例で言うと、左から24個目まで)がネットワークを表していることを意味しているんだ。残りの8ビットは、ネットワーク内の機器を表す部分、つまりホスト部だよ。この/24では、256個のIPアドレス(0から255まで)を持つ大きなネットワークができるんだ。

でも、もっと小さなネットワークにはこれだけのアドレスは必要ないよね。そこで、『192.168.1.0/28』にすると、最初の28ビットがネットワークを表すことになる。残りの4ビットがホスト部として使われるんだ。

だから、こうなる:

11000000 10101000 00000001 00000000

この4ビットは0000から1111まで、つまり16個のIPアドレスを使える小さなネットワークを作るんだよ。これが可変長サブネットマスクの仕組みだよ。ネットワークの規模に応じて、IPアドレスの数を柔軟に調整できるのが便利なんだ。」

可変長サブネットマスクの定義

可変長サブネットマスク(VLSM: Variable Length Subnet Mask)」とは、ネットワークにおいて、異なるサイズのサブネットを作成し、IPアドレスを効率的に利用するための技術です。ネットワークの規模に応じて適切なサブネットマスクを設定できます。

 

② 実際の事例

可変長サブネットマスクは、企業や自治体でのネットワーク設計において非常に有効です。特に、大規模な企業や複数の拠点を持つ組織では、IPアドレスの効率的な管理が重要です。

たとえば、ある大手企業では、東京本社と全国の支店を結ぶネットワークを構築しています。東京本社には数百台のコンピュータがあり、大きなネットワークが必要です。しかし、地方の小さな支店では、数台のコンピュータしか使っていません。この場合、東京本社には大きなサブネットを割り当て、支店には小さなサブネットを割り当てることで、無駄なくIPアドレスを利用できます。たとえば、東京本社には『192.168.0.0/22』という大きな範囲を割り当て、一つの支店には『192.168.10.0/28』のような小さな範囲を割り当てることができます。これにより、企業全体のネットワークを効率的に管理することが可能になります。

また、自治体でも、複数の施設や支所をつなぐネットワーク設計で、可変長サブネットマスクが活用されています。市役所や図書館、学校など、それぞれ異なる規模の施設に対して、適切なサイズのサブネットを割り当てることで、IPアドレスの無駄を最小限に抑えることができます。例えば、市役所には大きなネットワーク範囲を、図書館や学校には小さな範囲を割り当てることで、全体のネットワークを効率よく管理できるのです。

このように、可変長サブネットマスクを利用することで、企業や自治体はネットワーク資源を有効に使い、無駄を減らすことができます。


③ クイズや小テスト

クイズ1 可変長サブネットマスクの主な目的は何ですか?

A. ネットワーク速度を向上させる
B. IPアドレスの効率的な利用を図る
C. ネットワーク全体のセキュリティを高める

クイズ2 次のうち、可変長サブネットマスクを使うことで可能になることはどれですか?

A. ネットワーク全体を固定サイズで運用する
B. サブネットのサイズを自由に設定する
C. すべてのIPアドレスを一括で管理する

クイズ3 192.168.1.0/28というサブネットのサイズは、いくつのIPアドレスを含みますか?

A. 16個
B. 256個
C. 64個


回答
  1. 正解:B
  2. 正解:B
  3. 正解:A

応用情報技術者試験 平成25年秋 問32

応用情報技術者平成25年秋期問32 可変長サブネットマスク

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