HEMS

① ストーリー形式でわかる「HEMS」

放課後、パソコン部の部室にユウキとアイが残っていた。今日は顧問のタカハシ先生に、夏休みの自由研究のアイデアを相談している。

ユウキ：「先生、エコな暮らしについて調べてみたいんですけど、なんかいいテーマないですか？」

タカハシ先生：「それならHEMS（ヘムス）を調べてみたらどうかな？」

アイ：「へ、へむす？それって食べ物ですか？」

タカハシ先生：（笑いながら）「ちがうちがう。“Home Energy Management System（ホーム・エネルギー・マネジメント・システム）”の略で、家庭内の電気の使い方を見える化して、上手に節約できる仕組みなんだ」

ユウキ：「えっ、電気の使い方が“見える”ってどういうことですか？」

先生：「たとえば、スマホのアプリで“いま冷蔵庫がどれくらい電気を使ってるか”とか“昨日より電気代が増えてる”って確認できるんだ。しかも、エアコンや照明を自動で調整してくれる機能もあるよ」

アイ：「えっ、それって人間のかわりに家が電気をコントロールしてるってことですか？なんか未来っぽい！」

先生：「まさにその通り。HEMSは家電や太陽光発電、蓄電池ともつながっていて、電気をかしこく使うための司令塔なんだよ。省エネだけじゃなく、災害時に電気を効率よく使うことにも役立つ」

ユウキ：「へえ〜、うちの家にもあったら、お母さんよろこびそう。電気代って結構かかってるもんなぁ。誰の家にも導入できるものなのですか？」

先生：「いい質問だね。基本的には、どの家庭にもHEMSは導入できるよ。でもいくつかポイントがあるんだ。簡単に流れを説明すると、こんな感じだね。」

【HEMS導入の流れ】

現状の確認
　まず、今の家の電気配線や家電の種類を確認するよ。HEMSは家電と通信してデータを集めたり操作したりするから、古い設備だと制限があることもある。
機器の選定と見積もり
　パナソニックやシャープ、東芝などの家電メーカーや電気工事会社がHEMS対応の機器を出していて、工事業者に見積もりしてもらうとスムーズ。
工事・設定
　電気の配線を調整したり、分電盤（ブレーカーの箱）に機器を取り付けたりするよ。Wi-Fiやスマホアプリとの連携設定もする。
運用開始
　スマホで「今日はエアコンがたくさん電気使ってるな」とか、「冷蔵庫の効率がいいな」とかが見えるようになる。設定によっては、自動で節電モードになるようにもできる。
補助金の確認も忘れずに！
　地域によっては「HEMS導入に補助金が出る」こともあるから、お父さんやお母さんと一緒に自治体のホームページをチェックしてみてね。

ユウキ：「なるほど〜！なんか“家の頭脳”って感じですね。しかも地球にもやさしいし！」

先生：「その通り。これからの時代、電気はただ“使う”だけじゃなくて、上手に“管理する”時代なんだよ」

【用語の定義】

HEMS（Home Energy Management System）とは、家庭内の電気やエネルギーの消費を「見える化」し、効率的に管理・制御するシステムのこと。主に、家電製品・太陽光発電・蓄電池・電気自動車などと連携し、エネルギーの最適な使い方を支援する。
スマートハウスやゼロエネルギーハウス（ZEH）の実現に欠かせない技術のひとつ。

a-start=”1004″ data-end=”1007″ />

【よくある間違いとの比較】

用語	意味
HEMS	家庭内のエネルギー管理システム。個人の家に設置。
BEMS（ベムス）	ビル全体のエネルギー管理システム。商業施設やオフィスビル向け。
FEMS（フェムス）	工場内のエネルギー管理システム。製造業での使用が多い。