【中学生でもわかるIT用語】サイバーキルチェーンとは 物語と実際の事例でわかりやすく解説

『サ行』の用語

サイバーキルチェーン

① サイバーキルチェーンとは何か

ある日、中学生のタクヤは学校の情報科の授業で「サイバーキルチェーン」という言葉を初めて耳にしました。興味を持ったタクヤは先生に尋ねました。

「先生、サイバーキルチェーンって何ですか?何かの必殺技みたいですね。」

先生はわかりやすく説明を始めました。「サイバーキルチェーンとは、サイバー攻撃が成功するまでの一連のステップを指す言葉なんだ。これを理解することで、攻撃がどの段階で行われているかを知り、適切な対策を取ることができるんだよ。」

タクヤはさらに質問しました。「それって、具体的にはどういうステップがあるんですか?」

「良い質問だね。サイバーキルチェーンは主に7つのステップからなるんだ。それぞれを順に説明していくよ」と先生が続けました。

「まず1つ目は偵察(Reconnaissance)。これは、攻撃者がターゲットとなるシステムやネットワークを調査する段階だよ。次に武器化(Weaponization)。ここでは、攻撃に使うマルウェアやウイルスを作成する。そして配信(Delivery)、これは攻撃者が作成したマルウェアをターゲットに送る段階だ。」

「その次は何ですか?」とタクヤが興味津々に聞きました。

エクスプロイト(Exploitation)、つまり、ターゲットの脆弱性を突いて攻撃を実行する段階だ。そしてインストール(Installation)、マルウェアがターゲットシステムにインストールされる。そしてコマンド&コントロール(Command & Control)、ここで攻撃者はシステムにリモートでアクセスして操作を開始する。そして最後に目的の達成(Actions on Objectives)、攻撃者がデータの窃取やシステム破壊など、目的を達成する段階だよ。」

タクヤは感心しながら、「なるほど、サイバーキルチェーンって、攻撃が成功するまでの道筋なんですね。じゃあ、それを知っていると防ぐことができるんですか?」と尋ねました。

先生はうなずきながら答えました。「その通りだよ。サイバーキルチェーンを理解することで、どのステップで攻撃を止めるべきかがわかるんだ。例えば、偵察の段階で異常なアクセスを検知して防ぐとか、武器化や配信の段階でマルウェアをブロックすることで、攻撃を未然に防ぐことができるんだ。外部の会社にセキュリティ診断をしてもらうのも大事だね。」



サイバーキルチェーンの定義

サイバーキルチェーン:サイバー攻撃が成功するまでの一連のステップを指す概念で、攻撃の各段階で適切な対策を講じることで、攻撃を未然に防ぐことが可能になる。

ステップ説明
1. 偵察攻撃者がターゲットを選び、攻撃に必要な情報を収集するフェーズ。
2. 武器化攻撃者がマルウェアなどの攻撃ツールを作成し、ターゲットに送り込む準備をするフェーズ。
3. 配信攻撃ツールがターゲットに送り込まれるフェーズ(例えば、フィッシングメールや悪意のあるリンクを介して)。
4. 利用攻撃ツールがターゲットのシステムに侵入し、脆弱性を利用して感染させるフェーズ。
5. インストール攻撃ツールがターゲットのシステムにインストールされ、攻撃者がシステムを制御できる状態を作るフェーズ。
6. コマンドと制御攻撃者がターゲットのシステムに対してコマンドを送り、情報の窃取やシステムの操作を行うフェーズ。
7. 目的の達成攻撃者が目標を達成し、データの窃取やシステムの破壊などを行う最終フェーズ。

 

② 実際の事例

企業でのサイバーキルチェーンの使用例

1. セキュリティ対策の体系化

多くの企業がサイバーキルチェーンモデルを活用して、セキュリティ対策を体系的に整理しています。各段階に応じた防御策を講じることで、攻撃の連鎖を断ち切る効果的な対策が可能になります.

2. インシデント対応の効率化

サイバー攻撃が発生した際、サイバーキルチェーンの各段階に照らし合わせて攻撃の進行状況を把握することで、迅速かつ適切な対応が可能になります。これにより、被害の拡大を最小限に抑えることができます.

3. セキュリティ意識の向上

経営層から現場の担当者まで、サイバーキルチェーンの概念を共有することで、組織全体でサイバーセキュリティへの理解と意識を高めることができます。これにより、セキュリティ対策の重要性が組織全体に浸透します.

4. リスクアセスメントへの活用

企業は自社のセキュリティ対策をサイバーキルチェーンの各段階に照らし合わせて評価することで、弱点や改善点を特定し、より効果的なリスク管理を行うことができます.これらの使用例は、特に欧米の大手企業で積極的に活用されており、サイバーセキュリティ対策の基盤として位置づけられています。日本企業でも、サイバーキルチェーンを活用したセキュリティ対策の見直しが進んでいます。

 

③ クイズや小テスト

クイズ1 サイバーキルチェーンの最初のステップは何ですか?

A. 武器化
B. 偵察
C. 配信

クイズ2 サイバーキルチェーンの「コマンド&コントロール」とは何を意味しますか?

A. 攻撃者がターゲットにリモートでアクセスして操作を行う段階
B. マルウェアがターゲットシステムにインストールされる段階
C. 攻撃者がターゲットシステムを破壊する段階

クイズ3 企業がサイバーキルチェーンを理解することの利点は何ですか?

A. すべての攻撃を事前に防ぐことができる
B. 攻撃のどの段階で対策を講じるべきかがわかる
C. すべてのシステムが自動的に安全になる

回答

B. 偵察
A. 攻撃者がターゲットにリモートでアクセスして操作を行う段階
B. 攻撃のどの段階で対策を講じるべきかがわかる

応用情報技術者試験令和4年春 午前問37

応用情報技術者令和4年春期問37 サイバーキルチェーン

 

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