スタティックルーティング

舞台：中学校のコンピュータ教室
ある日の授業で、先生が大きな地図を取り出しました。

「今日はルーティングについて学ぼう。これは、データがインターネットを通じてどの道を通って目的地に届くかを決める方法だよ。」

ユウコが手を挙げて言いました。
「先生、それって道案内みたいな感じですか？」

先生は微笑んで言います。
「その通りだよ。たとえば、地図を見ながら、自分で行きたい場所へのルートを決めるようなものだね。そして、そのルートをあらかじめ地図に記録しておくと、それがスタティックルーティングになるんだ。」

先生は教室のホワイトボードに「ルーティングテーブル」という見出しを書き込みます。
「ネットワーク機器の中には、このようなルート情報をまとめたルーティングテーブルというものがあるんだ。このテーブルには、どのデータがどこに向かうべきか、その道順が書かれているんだよ。」

ユウコがさらに質問します。
「じゃあ、スタティックルーティングではそのテーブルをどうやって作るんですか？」

先生は黒板に図を描きながら説明を続けます。
「スタティックルーティングでは、管理者がこのルーティングテーブルを手動で設定するんだ。たとえば、AというパソコンからBというサーバにデータを送るとき、『この道を通ってね』とあらかじめルートを決めておくんだよ。」

「でも、自動でやってくれる方法もあるんじゃないですか？」ユウコがさらに問いかけます。

「いい質問だね。自動で最適なルートを計算してくれる方法をダイナミックルーティングというよ。でも、スタティックルーティングは、道が固定されているときや変更が少ない場合に便利なんだ。」

先生は最後にまとめます。
「スタティックルーティングは、シンプルなネットワーク構成に適しているんだ。ルーティングテーブルに情報を手動で登録するから、変更があれば管理者が手を加える必要があるけれど、安定した環境ではこれで十分なんだよ。」

スタティックルーティングは、ネットワークのルートを手動で設定し、ネットワーク機器のルーティングテーブルに固定された経路を登録する手法です。変更が必要な場合も管理者が直接ルーティングテーブルを編集する必要があります。特に、小規模で安定したネットワークに適しています。

用語	定義	違い
スタティックルーティング	管理者が手動でルートを設定し、ルーティングテーブルを編集する必要がある手法	安定した環境ではシンプルで効果的だが、変更時は手間がかかる
ダイナミックルーティング	ネットワーク機器が自動で最適なルートを計算し、ルーティングテーブルを動的に更新する手法	自動更新が可能で大規模ネットワークに向いているが、設定が複雑
デフォルトルート	特定のルートが設定されていない場合に使用されるルート。データを全て特定の場所に送る仕組み	スタティックルーティングと併用されることが多い