今回は2024年中小企業白書のまとめ記事です。
中小企業診断士、中小企業診断士を目指す人、マーケティング担当者など中小企業の動向を知りたい方向けの記事になります。
中小企業診断士として中小企業がおかれている環境を掴むことは重要です。
また、中小企業診断士受験生にとっても1次試験の中小企業経営・政策の出題範囲になるので大事なポイントです。完全自作のゴロ合わせもあるので活用してください!
中規模企業白書・小規模企業白書は合計すると1000ページを超えるので効率よくポイントを絞って概要を掴みましょう。
- ◆中小企業・小規模事業者の動向
- テーマ① 令和6年能登半島地震と中小企業のBCP策定の状況
- テーマ②‐1 新型コロナウイルスの影響と対応
- テーマ②‐2 ゼロゼロ融資の利用企業について
- テーマ➂ 中小企業の業況と経営課題
- テーマ④‐1 人手不足
- テーマ④‐2 働き方改革の影響(雇用者一人当たり労働時間の減少と人手確保のための取組)
- テーマ④‐3 人材確保・育成
- テーマ⑤‐1 賃上げ
- テーマ⑤‐2 外国人労働者の増加と平均賃金の比較
- テーマ⑥‐1 省力化投資
- テーマ⑥‐2 生産性
- テーマ⑥‐3 生産性の分子・付加価値の向上にむけて
- テーマ⑦ 海外需要と日本企業の決算状況
- テーマ⑧‐1 価格転嫁
- テーマ⑧‐2 パートナーシップ構築宣言と取引の実態
- テーマ⑨ 事業承継
- テーマ⑩ 経営改善・再生支援
- ◆環境変化に対応する中小企業
- ◆まとめ、おススメ書籍
◆中小企業・小規模事業者の動向
テーマ① 令和6年能登半島地震と中小企業のBCP策定の状況
・能登半島6市町村は高齢化が顕著。
被災前から生産年齢人口の割合が低い。比較的宿泊者数が多い。
・建物や設備の毀損額が1.1~2.6兆円と推計される
・中小企業のBCPの策定率は15.3%と上昇中
中小企業のBCP策定率は15.3%、BCPは囲碁みたいに計画的に!
地域でお金を使うことも復興支援。
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テーマ②‐1 新型コロナウイルスの影響と対応
・2020年以降、政府は緊急事態宣言などで休業要請または営業時間短縮要請を実施。
・影響を受ける事業者に対し緊急的な支援策を用意(事業継続・雇用維持など)
・各種措置の終了に伴い倒産件数は増加に転じるが失業率は低水準が継続
表に記載はないですが、2021年の倒産件数は6015件、2022年の倒産件数は6376件、
2022年の倒産件数は6376件、無残な禄(ろく=給料)
2023年の倒産件数は8690件、ハローワークで覚えよう
テーマ②‐2 ゼロゼロ融資の利用企業について
・倒産に占めるゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)の利用企業の割合は低く、5.7%
ゼロゼロ融資の利用はこんな(5.7)もんか
もっと活用してほしいですね。
・緊急事態宣言の影響が多い宿泊業・飲食業で多く利用された
テーマ➂ 中小企業の業況と経営課題
・2023年は中小企業の業況判断DIは高水準で推移
・経済の状況が全体として改善する基調が継続
・経営課題の内訳は売上不振の他は原材料高や求人難の割合が高い
テーマ④‐1 人手不足
・売上高がコロナから回復する中で、人手不足が深刻化
・生産年齢人口の減少を補う形で女性・高齢者の就業が進んできたが増加が頭打ち
・従業員規模が小さくなるにつれ、高齢者の割合が高くなっている
テーマ④‐2 働き方改革の影響(雇用者一人当たり労働時間の減少と人手確保のための取組)
・時間外労働の上限規制の段階的な規制の強化
2020年4月 中小企業に対し時間外労働の上限規制適用(一部業種適用猶予アリ)
2024年4月 中小企業の猶予期間終了
・労働投入量はリーマンショックで落ち込み、その後増加したがコロナで落ち込み、また足元で回復
・雇用者一人当たりの労働時間は短縮傾向の一方で雇用者数は増える傾向。
・人手確保の取組としては賃金や賞与の引き上げが最も多い(52%)
人材確保には賃金アップがごっつ(52.0%)効くでー
テーマ④‐3 人材確保・育成
・経営戦略と一体化した人材戦略を策定したうえで、職場環境の整備が重要
職場環境の整備へ取りんでいる会社ほど従業員数が増加しています、とまとめられていますが職場環境整備に取り組む余裕があるからとも考えられますね・・。
・人材育成は人材の定着や労働生産性の向上にもつながると期待される
テーマ⑤‐1 賃上げ
・物価に見合った賃金の引き上げで需要の拡大につなげる好循環を実現することが重要
・春闘の賃上げ率は引き上げ傾向
春闘の賃上げ率
2022年 | 2023年 | |
全規模 | 2.07% | 3.58% |
中小(組合員数300人未満) | 1.96% | 3.23% |
2023年には前年比から43円アップで1004円。
23年には最低賃金で嫁さん泣かせませんよ!で覚えよう
・消費者物価指数が大きく上昇しているため、実質的な賃金は増えていないと言える
・業績が改善していなくても賃上げを行わざるを得ない企業が増加中
理由②物価上昇への対応(61.0%)
賃上げをしないといけない理由は人材確保なんだろうな(76.7%)
テーマ⑤‐2 外国人労働者の増加と平均賃金の比較
・外国人が日本の平均賃金にどう影響を与えているか
・外国人労働者数は204万人
全体に占める割合は2017年と2023年で1%しか増えていないんですね。
感覚的にはもっと多いと思っていた人が多いのではないでしょうか。
専門的技術分野の在留資格が特に増加傾向です。
ご苦労もあると思いますが。(59.6%)
外国人労働者の賃金は日本の正社員と比較して安いけど、技術を学んで帰れることや、母国との経済格差、日本の住環境の良さなどから働きに来てくれているんだ。円安・物価高・賃金上昇率の低さから考えると今後の動きに注目ですね。
テーマ⑥‐1 省力化投資
・人材確保だけでなく、省力化に向けた設備投資も必要である。売上高増加につながることも期待。
・小規模企業ほど省力化投資が進んでおらず、省力化の取組余地が大きい。
テーマ⑥‐2 生産性
・日本の一人当たり名目GDP平均成長率は ▲0.3% 各国平均は+4.4%(うち欧米平均+1.9%)
就業者数の減少は人口統計で予測できるから実線で示されています。欧米並みに成長するには生産性の向上が必須です。
・日本の労働生産性は低い。中小企業の生産性の引き上げが必要。
アメリカの生産性の高さは有名ですが、イタリアも高いですね。イタリアは職人技術をいかした高付加価値商品の生産や、製造業の強さ、観光資源の強さなどが理由のようです。
日本85,329USD,OECD平均約115千USD,アメリカ約160千USDなので
日本のハ高山にくらべてOECD平均はいい子、アメリカはヒーロー!
※八高山(はっこうさん)・・・静岡県掛川市の山
テーマ⑥‐3 生産性の分子・付加価値の向上にむけて
・生産性向上のため低コスト化・数量確保を続けてきた。
その結果大企業の売上高や利益率は増加するが、中小企業は低迷。
・今後は単価の引き上げによる生産性の向上も必要
テーマ⑦ 海外需要と日本企業の決算状況
・輸出額は増加、株価は史上最高水準
・大企業中心に好決算
・企業は貯蓄超過
テーマ⑧‐1 価格転嫁
・価格交渉が可能な取引環境が醸成されつつある
・コスト増加分を価格に転嫁できていない。転嫁率向上のための取組が課題
・適切な価格交渉が必要。協議の実施・商品の原価構成を把握して交渉を進めることが有効
テーマ⑧‐2 パートナーシップ構築宣言と取引の実態
・パートナーシップ構築宣言企業はより多くの発注先と価格協議が出来ており、価格転嫁にも高い水準で応じている
・価格協議に応じていない企業も一定数存在する。宣言の実効性の向上の取組も必要
テーマ⑨ 事業承継
・経営者年齢の分布が平準化しつつあるが、半数近くの中小企業で後継者が不在。(54.5%)
・後継者が決まっている企業でも、経営能力や相続税・贈与税などの承継の課題がある
山が平坦になっていることから事業承継が進んできていると見れますが、廃業数との比較も大事ですね。
後継者不在率は54.5%、後継者候補の雇用、GO!
テーマ⑩ 経営改善・再生支援
・感染症拡大以降、経営改善・再生支援のニーズが高まっている
・財務内容の改善、事業の継続、売り上げ増加が経営支援による効果
◆環境変化に対応する中小企業
テーマ⑪ 中小企業の成長
・2023年は約9割の中小企業が投資行動に意欲的
・投資行動に意欲的な企業は労働生産性の観点でもプラスの効果がある
テーマ⑫ 中小企業の成長投資
・企業の成長には人への投資の他にも設備投資、M&A、研究開発投資といった投資行動が有効
そりゃそうでしょう、、というデータですが、コロナの影響で2020は減少していますがその後は100を超えているところも注目ですね。
ソフトウェア投資比率が中小企業で急上昇していることも注目です。(下図)
テーマ⑬ 中小企業の成長投資のための資金調達
・成長投資のための資金調達手段としてエクイティファイナンスは有効
テーマ⑭ 中小企業の成長に向けたM&A
・M&A実施企業の業績は良化している(2017年比146.9%、未実施企業118.2%)
・M&A実施企業の労働生産性は良化している(2017年比105.0%、未実施企業は100.7%)
・M&Aの最低手数料のボリュームゾーンは500万~1000万円
◆まとめ、おススメ書籍
以上、中小企業白書のまとめでした。
なにかの参考になると嬉しいです。読んで頂きありがとうございました。
もっと詳しく見たい方は下記をご参照ください。
引用元の資料:2024年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2024/PDF/2024gaiyou.pdf
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