【中学生でもわかるIT用語】インセンプションデッキとは 物語と実際の事例でわかりやすく解説

『ア行』の用語

インセンプションデッキ

① 物語性を取り入れた説明: 「インセンプションデッキ」

IT企業で働く新入社員のカナは、初めて参加するプロジェクトの会議で「インセンプションデッキ」という言葉を聞きました。何のことかわからなかったカナは、会議の後に先輩の課長に質問しました。

「課長、インセンプションデッキって何ですか?」

課長は微笑みながら、「いい質問だね、カナ。インセンプションデッキは、プロジェクトを始める前に、その方向性を全員で共有するためのものだよ。特にアジャイル開発でよく使われるんだ。プロジェクトの目的、チームメンバー、リスク、成功の定義など、重要な項目をまとめた資料がデッキ(複数のスライド)として使われるんだ」

「プロジェクトの方向性を共有するためなんですね。でも、インセンプションデッキという名前はどういう意味なんですか?」

課長はうなずき、「インセンプションは英語で“始まり”や“発端”という意味で、デッキは“資料の束”という意味だよ。だから、インセンプションデッキは、プロジェクトの始まりに使う資料の束という意味なんだ」

「具体的には、次のような質問に答える内容が含まれるんだよ」と課長は、ホワイトボードにいくつかの項目を書き出しながら説明しました。

インセンプションデッキの主な項目:

  1. なぜこのプロジェクトを行うのか?(目的と背景)
  2. 成功とは何か?(成功の定義)
  3. やらないことは何か?(スコープ外のこと)
  4. リスクは何か?(潜在的なリスク)
  5. 私たちはどうやって成功を測るのか?(測定基準)
  6. チームメンバーは誰か?
  7. 初期の見積もりはどうなっているか?

 

「この質問に答えることで、プロジェクトの全体像が明確になり、みんなが同じ方向を向いて進めるようになるんだ」

「なるほど、プロジェクトを始める前に、チーム全員が同じ理解を持つための資料なんですね。アジャイルモデリングの一種でしょうか?」

課長はうなずきながら説明を続けました。「似ている部分はあるけど、厳密にはアジャイルモデリングとは違うんだ。アジャイルモデリングは、システムやソフトウェアの設計を柔軟に進めるための手法で、主に開発中に使われる。インセンプションデッキは、プロジェクトを開始する前に、チーム全体で目標や方向性を共有するための資料だから、どちらかというとプロジェクトの準備段階に位置づけられるものだよ」

 

「なるほど、アジャイルモデリングが開発中の設計に関するものだとすると、インセンプションデッキはプロジェクトの方向性を決めるための準備なんですね」

「その通り!インセンプションデッキは、アジャイル開発の初期段階で特に重要視されるんだ。なぜなら、プロジェクトの目的や成功の定義を最初に明確にしておかないと、開発が進む中で方向性がずれてしまうことがあるからね」

「なるほど、プロジェクトの進行に伴って何度も見直されるんですか?」

「そうだね。インセンプションデッキは、必要に応じて内容を更新し、プロジェクトの進捗に合わせて柔軟に調整することができるんだよ。最初は大まかな目標でも、開発が進むにつれて具体的な項目を追加していくことができる。だから、アジャイル開発と相性が良いんだ」

「それは便利ですね。プロジェクトがスムーズに進むように、全員が同じ方向を向けるということですね」

「その通り!特に、成功の定義やリスクの共有は重要だから、インセンプションデッキを使ってしっかりと合意形成を行うことが大事なんだ」


インセンプションデッキとは、プロジェクトの開始時にその目的や目標、リスク、チームの役割分担などを全員で共有するための資料です。特にアジャイル開発でよく使われ、プロジェクトを成功に導くための重要なツールです。

② 実際の事例: インセンプションデッキの使用例

インセンプションデッキは、多くの企業や自治体で新しいプロジェクトの開始時に使用されています。

例えば、あるIT企業では、ウェブアプリの開発プロジェクトの初期にインセンプションデッキを使いました。最初はチーム内で目的や成功基準が不明瞭で、進捗が遅れていたのですが、デッキを作成し全員が共通の認識を持つことで、効率的な進行が可能になりました。

また、自治体のデジタル化推進プロジェクトでも、インセンプションデッキを活用して部門間の調整を行いました。これにより、異なる部門のチームメンバーがプロジェクトの目標を共有し、予算やスケジュールを適切に管理できたという成功例もあります。


➂ クイズや小テスト

クイズ1

インセンプションデッキの目的は何ですか?

A. プロジェクトの進捗を監視すること
B. プロジェクトの目的や方向性を共有すること
C. 開発者の作業スケジュールを管理すること

クイズ2

インセンプションデッキに含まれる項目はどれですか?

A. チームメンバーのスキル評価
B. プロジェクトの成功の定義
C. 完成したプロダクトの使い方

クイズ3

インセンプションデッキはどの開発手法でよく使われますか?

A. アジャイル開発
B. ウォーターフォール型開発
C. スパイラルモデル


⑤ 回答

  1. B – インセンプションデッキは、プロジェクトの目的や方向性を共有するために使われます。
  2. B – プロジェクトの成功の定義や目的が含まれます。
  3. A – インセンプションデッキは特にアジャイル開発でよく使われます。



タイトルとURLをコピーしました