【中学生でもわかるIT用語】オートマトンとは 物語と実際の事例でわかりやすく解説

『ア行』の用語

オートマトン

① 物語性を取り入れた説明

オートマトンとは何か

ある日、高校生のサトシは学校の情報科の授業で「オートマトン」という言葉を初めて聞きました。先生がわかりやすく説明を始めました。

「みんな、今日はオートマトンについて話すよ」と先生が言いました。「オートマトンというのは、数学やコンピュータサイエンスで使われる概念で、入力に対して一定の動作を行うモデルのことなんだ。」

サトシは手を挙げました。「先生、それって具体的にはどういうことなんですか?」

「オートマトンは、ある状態から別の状態に移る仕組みを持つ装置だと思ってみて。例えば、自動販売機を思い浮かべてごらん。お金を入れてボタンを押すと、飲み物が出てくるよね? これがオートマトンの簡単な例なんだ」と先生は説明しました。

「なるほど、自動販売機がオートマトンみたいなものなんですね。もう少しかみ砕いて教えて頂けますか?」とサトシは自販機が簡単な例?と疑問を持ちながら尋ねました。

 

「自動販売機は、投入された金額や選択されたボタンによって、飲み物を出すという動作を決定するよね。例えば、100円しか入っていないと、ジュースを選んでも飲み物は出てこないけど、120円入れればボタンを押したときにジュースが出てくる。このように、投入された金額が状態を変化させ、ある条件を満たすと飲み物を出すことができるんだ。これが、受理状態非受理状態に対応しているんだよ」と先生は続けました。

受理状態と非受理状態とは

サトシはさらに興味を持ち、「受理状態非受理状態ってどういう意味ですか?」と質問しました。

「いい質問だね、サトシ。オートマトンには、入力に応じて特定の状態に到達するかどうかが重要なんだ。受理状態というのは、最終的に望ましい結果が得られる状態を指すんだ。自動販売機の例で言えば、飲み物が出てくる状態が受理状態だね。一方、非受理状態というのは、望ましい結果が得られない状態のことを言うんだ。例えば、まだお金が足りない状態や、ボタンが押されていない状態が非受理状態だよ」と先生は答えました。

「つまり、オートマトンは入力によって受理状態にたどり着けばOKだけど、非受理状態だと何も起きないんですね」とサトシは理解を深めました。

「その通りだよ、サトシ。自動販売機は、投入金額や選択によって受理状態に達すると、商品が出る。これがオートマトンの仕組みをよく表しているんだ」と先生はまとめました。

有限オートマトンとは

サトシはさらに質問しました。「オートマトンって色々な種類があるんですか?」

「その通り、サトシ。実は、オートマトンの中でも特に基本的でよく使われるものが有限オートマトンなんだ。有限オートマトンは、その名の通り、有限個の状態を持つオートマトンのことだよ。簡単に言うと、状態が限られていて、決まったルールに従って状態が変わる仕組みなんだ」と先生は答えました。

「有限個の状態ってどういう事ですか?」サトシは尋ねました。

「例えば、さっきの自動販売機を例にすると、お金を受け取った状態、ボタンが押された状態、飲み物を出す状態の3つの状態があるとしたら、これが有限オートマトンとしてモデル化できるんだ。自動販売機では無限に”状態”が増えることはないから、名前の通り有限なんだよ」と先生は説明を続けました。

オートマトンの使い方

「なるほど、オートマトンはこうやって機械の動作をモデル化するんですね。でも、他にはどんなところで使われているんですか?」とサトシはさらに興味を持ちました。

「オートマトンは、コンピュータプログラムや言語処理、さらにはロボット制御など、さまざまな分野で使われているんだ。特に、文字列のパターンマッチングや計算の自動化に使われることが多いよ」と先生は答えました。

「例えば、ネット上でパスワードを入力するとき、正しいパスワードが入力されたかどうかを確認するのにもオートマトンが使われているんだよ」と先生は付け加えました。

「なるほど、それでコンピュータの動作を理解しやすくするんですね。オートマトンってすごいですね!」とサトシは感心しました。

オートマトンの定義

オートマトン(Automaton):入力に応じて一定の動作を行う、数学的およびコンピュータサイエンスで用いられるモデル。状態と遷移の概念を持ち、機械やプログラムの動作を表現するために使用される。受理状態は望ましい結果が得られる状態、非受理状態は望ましい結果が得られない状態を指す。有限オートマトンは、その中でも特に状態が有限個であるオートマトンを指す。

② 実際の事例

企業でのオートマトンの使用例

多くの企業では、オートマトンの概念を使って効率的にシステムを設計しています。例えば、銀行のATMシステムでは、オートマトンが利用されています。お客様がカードを挿入し、暗証番号を入力して、金額を選択すると、ATMはそれに応じた動作を行います。これらの一連の動作は、オートマトンを使ってモデル化され、システムが正確に動作するようになっています。

また、製造業では、オートマトンを使って生産ラインのロボットを制御しています。ロボットは、入力された製品の情報に基づいて、次に行うべき動作を決定します。例えば、製品Aがラインに流れてきたら、部品を取り付ける動作を行い、製品Bが流れてきたら別の動作を行うといった具合です。これにより、効率的かつ正確な生産が可能になっています。

自治体でのオートマトンの使用例

自治体でも、オートマトンを利用したシステムが導入されています。例えば、市役所のオンライン申請システムでは、入力されたデータに基づいて次の手続きを自動で案内する機能があります。これにより、手続きの効率が上がり、市民サービスの向上につながっています。

さらに、交通信号の制御にもオートマトンが使われています。交通量に応じて信号のパターンを変更することで、交通の流れをスムーズに保つことができるのです。これにより、渋滞の緩和や事故の防止に役立っています。

③ クイズや小テスト

クイズ1 オートマトンはどのような概念ですか?

A. 計算速度を測定する概念
B. 入力に応じた動作を行うモデル
C. データの圧縮方法

クイズ2 オートマトンが使われている例として正しいのはどれですか?

A. ATMシステム
B. 音楽再生
C. 画像編集

クイズ3 有限オートマトンの特徴はどれですか?

A. 無限の状態を持つ
B. 決まった有限個の状態を持つ
C. 状態が常に変化する

回答

B. 入力に応じた動作を行うモデル
A. ATMシステム
B. 決まった有限個の状態を持つ

 

応用情報技術者試験 平成26年春午前問4

応用情報技術者平成26年春期問4 有限オートマトンの状態遷移表
タイトルとURLをコピーしました