【中学生でもわかるIT用語】ウォード法とは 物語と実際の事例でわかりやすく解説

『ア行』の用語

ウォード法

① 物語性を取り入れた説明: 「ウォード法」

中学生のマコトは、授業で「ウォード法」という言葉を聞き、興味を持って先生に質問しました。

「先生、ウォード法ってどんな方法なんですか?」

「良い質問だね、マコト。ウォード法は機械学習の中の教師なし学習といわれるもので、データを似たもの同士でグループ化するクラスタリング手法のひとつなんだ。でも、少し違うのは、この方法は階層ありクラスタリングと呼ばれるんだよ。」

「階層ありクラスタリングって、何が違うんですか?」

「前に勉強したk-means法は、最初にグループ数を決めて、それに従ってデータを分けていく、階層なしクラスタリングだったね。k-means法ではグループの階層構造を作るわけではない。でも、ウォード法では階層を作りながら少しずつデータをまとめていくんだ。」

「階層を作るって、どういうことですか?」

「ウォード法では、まずすべてのデータが独立したグループからスタートするんだ。それからデータを少しずつまとめていって、最終的に全体が一つの大きなグループになるまで進めていくんだ。データのまとまり具合を樹形図のような図で表現することもできて、これをデンドログラムと呼ぶよ。」

「樹形図みたいにデータがまとめられるんですか?面白いですね!」

「そうなんだ。ウォード法では、グループ内のデータのばらつきが最小になるように、データをまとめていくのが特徴なんだ。」

「ばらつきを最小にする、というのはどういう意味ですか?」

「ばらつきとは、データがどれだけ散らばっているかを表す指標なんだ。たとえば、あるグループの中でみんなの身長が似ていると、そのグループのばらつきは小さいよね。でも、身長がバラバラだとばらつきが大きくなる。ウォード法では、ばらつき、つまり分散が最小になるようにグループをまとめていくんだ。」

「なるほど、分散が小さいと、似たようなデータがまとまっていることになるんですね!」

「その通り!具体的には、まずデータを独立したグループとしてスタートさせて、分散が最小になるように一番近いグループ同士を組み合わせていくんだ。これを繰り返していって、最終的にひとつの大きなグループにまとまるんだよ。」

「だんだんグループを大きくしていくんですね。デンドログラムって、どんなふうに見えるんですか?」

 

「デンドログラムは、木のように枝分かれしている図で、階層の関係が視覚的にわかりやすくなるんだ。最初は小さなグループがいくつもあって、だんだん上に行くとグループがまとめられて大きなまとまりになっていくのが見て取れるよ。これで、どのデータがどのようにグループ化されていったのかを一目で理解できるんだ。」

「なるほど!ウォード法で作った階層が見やすくなるんですね。」

「そうだね!ウォード法は、特にデータを少しずつまとめて、分散を抑えながらグループ化するのに向いている手法だから、例えば顧客セグメントの分類や、地域ごとの配送エリアの最適化など、グループ内のまとまりが重要な場面でよく使われるんだ。」

「データのまとまりを意識しながら、階層的にグループ化していくんですね。k-means法とはまた違った使い方ができるんですね!」


実際のIT用語の定義

ウォード法とは、各グループのばらつき(分散)が最小になるようにデータを階層的に統合していくクラスタリング手法です。データを階層的にまとめることで、グループ化の過程をデンドログラム(樹形図)で視覚的に表現できます。分散が最小になるように組み合わせを選びながらグループを作るため、データ内のまとまりを意識した分類が可能です。

用語説明
ウォード法各グループ内のばらつき(分散)を最小にしながら、データを階層的に統合してグループ化する手法
デンドログラム階層的にグループ化されたデータを樹形図のように視覚的に表現した図で、クラスタリングの構造がわかりやすくなる
分散データのばらつきの指標で、値が小さいほどデータのまとまりがあることを示す
k-means法階層なしクラスタリングの一種で、指定した数のグループにデータを分けるが、階層的な構造は作らない

② 実際の事例: ウォード法の使用例

企業での使用例

ウォード法は、企業の顧客セグメント分析で広く使用されています。

たとえば、ある通販サイトが顧客の購買履歴を分析し、似た行動を持つ顧客をグループ化して、それぞれのグループに最適な商品をおすすめすることができます。これにより、各顧客に合わせた効果的なマーケティングが実現し、売上アップにつなげることができます。

物流業界でも配送エリアの最適化に応用されています。

物流会社は、配送エリアを効率よく設定するために、ウォード法を使ってエリアを分けています。地域特性や配送頻度を考慮し、ばらつきの少ないグループに分けることで、無駄のない配送ルートを構築できます。これにより、配送コストの削減や配送時間の短縮が可能となり、顧客満足度向上に貢献しています。


③ クイズや小テスト

クイズ1 ウォード法とは何ですか?

A. データをランダムに分割する

B. グループ内の分散を最小にしながらデータを階層的に統合する

C. データを削除する

クイズ2 ウォード法で使われる「分散」とは何を示していますか?

A. グループ内のデータのばらつき具合

B. データの平均値

C. グループ数の合計

クイズ3 ウォード法で生成される、階層構造を示す樹形図の名前は何ですか?

A. ヒストグラム

B. デンドログラム

C. タイムライン


回答

クイズ1: B. グループ内の分散を最小にしながらデータを階層的に統合する
解説:ウォード法は、分散を最小にする基準でデータを階層的に統合してグループ化する手法です。

クイズ2: A. グループ内のデータのばらつき具合
解説:分散とは、グループ内のデータがどれだけまとまっているかを表す指標です。

クイズ3: B. デンドログラム
解説:デンドログラムは、データの階層的なグループ化を示す樹形図のことです。

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