VRRP
① 物語性を取り入れた説明: 「VRRP」
中学生のカズキは、ネットワーク技術に興味を持っている好奇心旺盛な少年。ある日、学校のパソコン室でネットワークが急に繋がらなくなった経験から、ネットワークの冗長化技術に興味を持ち、先生に質問しました。
カズキ: 「先生、どうして急にネットワークが使えなくなることがあるんですか?」
先生: 「いい質問だね、カズキ。ネットワークには障害が起こることがあるんだよ。でも、その障害に備えて、ネットワークの冗長化技術、つまりバックアップの仕組みが使われることが多いんだ。例えば、『VRRP』という技術があるよ。」
カズキ: 「VRRPって何ですか?」
先生: 「VRRPは『Virtual Router Redundancy Protocol(バーチャルルーター冗長化プロトコル)』の略で、ネットワークのルーターが壊れても他のルーターに自動的に切り替わるための技術なんだ。まるで2人の警備員が協力して建物を守るように、1台のルーターが故障してもすぐにもう1台が代わりに動作する仕組みだよ。」
カズキ: 「どうやって切り替わるの?」
先生: 「VRRPでは、複数のルーターがバーチャルルーターという仮想的なルーターを構成しているんだ。その中で一番優先順位が高いルーターが『マスタールーター』として動き、他のルーターが『バックアップルーター』として待機している。もしマスタールーターに障害が発生した場合、バックアップルーターのうち優先順位が高いものがすぐにマスターに切り替わる仕組みだよ。」
カズキ: 「そうすると、ネットワークが途切れることがないんですね!」
先生: 「そうだね。だから、VRRPはとても便利な技術なんだよ。でも、1つ注意点がある。VRRPはマスタールーターとバックアップルーターが同じネットワーク上にないと機能しないんだ。だから、物理的な設置場所やネットワーク構成に注意しないといけない。」
カズキ: 「なるほど。VRRPを使えばネットワークが途切れることが減りそうですね!」
VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)は、複数のルーターが仮想的なルーター(バーチャルルーター)として機能し、ネットワークの冗長性と可用性を向上させるためのプロトコルです。マスタールーターとバックアップルーターで構成され、マスタールーターに障害が発生した場合にバックアップルーターが自動的にマスタールーターに切り替わることで、ネットワークのダウンタイムを最小限に抑えます。
② 実際の事例: 「VRRP」の使用例
ある大手企業では、VRRPを使用して社内の重要なネットワークサービスの可用性(システムが継続して稼働できる能力)を確保しています。以下はその実際の事例です。
事例: グローバル企業の社内ネットワーク
背景:
あるグローバル企業では、世界中の支店や社員が社内ネットワークを通じてシステムにアクセスしています。しかし、ネットワークに障害が発生すると、全社的に業務が停止するリスクがありました。
ソリューション:
ネットワークの重要な拠点にVRRPを導入し、冗長化したネットワーク構成を構築しました。各拠点にマスタールーターとバックアップルーターを設置し、マスタールーターに障害が発生した場合は、バックアップルーターが自動的に引き継ぐ仕組みを作りました。これにより、ネットワークの可用性を確保しました。
結果:
VRRPの導入によって、ネットワークのダウンタイムが劇的に減少し、社員が世界中どこからでも安全かつスムーズにシステムにアクセスできるようになりました。
③ クイズや小テスト: 「VRRP」
クイズ1: VRRPの主な目的は何ですか?
A. ネットワーク速度の向上
B. ネットワークの冗長性と可用性の向上
C. ネットワークのセキュリティ強化
クイズ2: VRRPでマスタールーターが故障した場合、何が起こりますか?
A. ネットワーク全体がダウンする
B. バックアップルーターがマスタールーターに切り替わる
C. 新しいマスタールーターを手動で設定する必要がある
クイズ3: VRRPを使う上で重要な注意点は何ですか?
A. マスタールーターとバックアップルーターは同じネットワーク上に配置する必要がある
B. VRRPはIPv4のみに対応している
C. VRRPを使用するには専用のハードウェアが必要である
回答
クイズ1: B. ネットワークの冗長性と可用性の向上
クイズ2: B. バックアップルーターがマスタールーターに切り替わる
クイズ3: A. マスタールーターとバックアップルーターは同じネットワーク上に配置する必要がある
応用情報技術者試験令和6年春 問32
