【中学生でもわかるIT用語】SysMLとは 物語と実際の事例でわかりやすく解説

『S』から始まる用語

SysML(Systems Modeling Language)

① 物語性を取り入れた説明: 「SysML」

「カズ君、おはよう!今日はちょっと特別な話をしようと思うよ」とITの先生、タナカ先生が笑顔で教室に入ってきました。

「今日はSysMLっていうものを学ぶよ。SysMLはシステムを作るときの設計図みたいなものなんだ。例えばね、君たちが学校で文化祭のプロジェクトを企画するとき、どんなことを考える?」

「えっと…まず何を作るか決めて、どんな材料が必要かとか、役割分担を考えます」とカズ君。

「そう!いいね。例えば、文化祭でロボットを作るとしよう。まず、ロボットの形、動き、使う部品、どうやって動かすかをみんなで決めなきゃいけないよね。そのために、各部分の役割や動作をまとめた設計図を作る。これがSysMLの役割なんだ」とタナカ先生はホワイトボードに図を描き始めました。

SysMLは、複雑なシステムを設計するときに、たくさんの部品や機能を分かりやすく表すための言語なんだ。例えば、ロボットの腕がどう動くのか、どんな電池を使うのか、そういった部分を細かく分けて図で表現する。それを通じて、誰が見てもわかるようにするんだ」

「なるほど、文化祭のプロジェクトをまとめるみたいに使うんですね!」とカズ君は納得した様子。

「そうだね。SysMLは、システムを設計する際にさまざまな図表を使って情報を整理する方法なんだ。複雑なシステムを理解するためには、システムのさまざまな側面を視覚的に分かりやすく整理することが大切だからね。SysMLには、具体的に次のような9つの図表があるよ。それぞれがシステムの異なる部分や側面を表しているんだ。


図表名 説明
要件図 (Requirements Diagram) システムが満たすべき要件や目標を表す
ブロック定義図
(Block Definition Diagram)
システムの構造を定義し、部品同士の関係を示す
内部ブロック図
(Internal Block Diagram)
ブロックの内部構造や部品間の接続を表す
パラメトリック図 (Parametric Diagram) 設計制約や性能パラメータを示す
状態機械図 (State Machine Diagram) システムの状態とその遷移を表す
アクティビティ図 (Activity Diagram) システムの活動やプロセスの流れを表現する
シーケンス図 (Sequence Diagram) システム内の要素間の相互作用を時間軸に沿って示す
ユースケース図 (Use Case Diagram) システムとユーザーの関わりを示す
パッケージ図 (Package Diagram) システムの要素を整理・グループ化して示す

 

SysMLのこれらの図表を使うことで、チームのメンバーが異なる視点からシステムを理解し、それぞれの役割に応じた情報を共有できるんだ。こうして、複雑なプロジェクトでもスムーズに進行できるんだよ」

「以前習ったUMLと似ている気がするんですけど、どのような関係があるんですか?」とカズ君は首をかしげながら質問しました。

「いい質問だね!」とタナカ先生はうなずきながらホワイトボードに『UML』と『SysML』という2つのキーワードを書きました。

UML(統一モデリング言語)は、ソフトウェア開発のための標準的なモデリング言語なんだ。プログラムを作るときにその構造や動きをわかりやすくするために使うものだよ。例えば、オブジェクト同士がどうやってやり取りをするかとか、どんな機能があるかを図で表すことができるんだ」

「なるほど、だからシステムの動きを図にして説明するのに使うんですね」とカズ君が理解を示します。

「そうだね。SysMLはそのUMLを基にして作られているんだ。つまり、SysMLはUMLを拡張したものと考えられるよ。違うのは、SysMLはソフトウェアだけじゃなくて、もっと広いシステム全体の設計を行うためのものだという点だね。だから、ハードウェアや人の操作、物理的な環境まで含んで、システム全体を視覚的に表すことができるんだ」

タナカ先生はホワイトボードに次のように書き加えました。


比較項目 UML SysML
主な目的 ソフトウェア開発のモデリング システム全体のモデリング
対象 ソフトウェアの構造と動作 ソフトウェア、ハードウェア、プロセス、人の操作などの総合的なシステム
図表の種類 クラス図、シーケンス図、ユースケース図など 要件図、ブロック定義図、パラメトリック図など、UMLの図も一部使用

「この表を見てわかるように、UMLはプログラムを作るために使われるけど、SysMLはもっと大きなスケールで、機械や環境も含めた設計をするために使われるんだよ。だから、UMLを知っているとSysMLも理解しやすいんだ」

「確かに似ているけど、SysMLの方がもっと幅広く使えるってことですね!」とカズ君は納得した様子で頷きました。

「その通りだよ。システム全体を考えるときに、このSysMLはとても役に立つんだ。システムをきちんと整理することで、効率的な設計ができるようになるんだよ」とタナカ先生は微笑んで締めくくりました。

SysML (Systems Modeling Language) は、システム工学のためのモデリング言語で、複雑なシステムを分解して理解しやすくするために使われます。SysMLはUML(統一モデリング言語)の拡張であり、要件定義、構造設計、振る舞いモデルなどを作成するために使用されます。

② 実際の事例: SysMLの使用例

SysMLは多くの企業や自治体で、特に複雑なシステム設計が必要なプロジェクトで活用されています。例えば、自動車メーカーでは、新しい自動車モデルを設計するときにSysMLが利用されています。自動車にはエンジン、電子システム、安全装置など、数多くの部品があり、それらの連携が重要です。SysMLを使うことで、これらの部品をどう組み合わせて動かすかを視覚的に設計し、全体のシステムを最適化できます。

また、航空宇宙産業でもSysMLは非常に重要な役割を果たしています。例えば、航空機の設計では、飛行制御システム、エンジン、通信システムなど、非常に多くの異なる分野の技術が集まっています。SysMLを使うことで、それぞれの分野の設計者が協力し合い、システム全体を見渡しながら最適な設計を進めることができます。

さらに、自治体のインフラプロジェクトにおいてもSysMLは利用されます。例えば、新しい交通システムを構築する際、道路、信号、バスの運行システムなどがどのように連携するかをSysMLでモデル化することで、各システム間の相互作用を明確にし、効率的な計画を立てることが可能です。

➂ クイズや小テスト

クイズ1

SysMLは何を目的としたモデリング言語ですか?

A. データベースの管理
B. 複雑なシステムの設計とモデリング
C. Webサイトのデザイン

クイズ2

SysMLを使用すると、何を行うことが容易になりますか?

A. システムの構造や要件を視覚的に表現する
B. プログラムのコーディングを自動化する
C. サーバーの設定を最適化する

クイズ3

SysMLはどの業界でよく使用されていますか?

A. 飲食業
B. 航空宇宙産業と自動車産業
C. アパレル産業

⑤ 回答

  1. B – SysMLは複雑なシステムの設計とモデリングを目的とした言語です。
  2. A – SysMLはシステムの構造や要件を視覚的に表現することを容易にします。
  3. B – SysMLは航空宇宙産業や自動車産業でよく使用されます。

 

応用情報技術者試験平成30年秋 午前問46

応用情報技術者平成30年秋期問46 SysMLの説明はどれか

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