スタブ
① 物語性を取り入れた説明
アキコはプログラミングの授業で「スタブ」という言葉を聞きましたが、何のことかわからず、授業後に先生に質問しました。
「先生、スタブって何ですか？」
先生は笑顔で答えました。「良い質問だね、アキコ。スタブは、プログラムを作るときに、まだ作っていない部分の代わりに使う『仮のコード』のことなんだ。例えば、アキコが映画を作っているとするよね。でも、まだ完成していないシーンがあったとき、その部分に何か仮の映像を入れておくことがあるよね？プログラムでも同じで、まだ作っていない部分の動きをシミュレーションするために、スタブを入れておくんだ。」
「映画の予告編みたいな感じですか？」とアキコは聞き返しました。
「そうだね、近い考え方だよ。プログラム全体を完成させる前に、ある部分の機能が正しく動くかどうかを確認したい時、スタブを使ってテストするんだ。スタブは仮のコードだから、実際にはその機能を全て作り込む前に、他の部分との連携や動作確認ができるようになるんだよ。」
「じゃあ、プログラムが完成する前に、部分的な動作をチェックできるんですね。」とアキコは納得しました。
「その通り。たとえば、外部のシステムと連携するプログラムを作っている場合、その外部システムがまだ準備できていないときにも、スタブを使うことで、仮のシミュレーションを行って動作確認ができるんだ。」
「ところで先生、ドライバとはどう違うんですか？スタブも何か仮のものを動かすようですが…。」とアキコはさらに疑問を持ちました。
「良い質問だね！ドライバは、コンピュータがハードウェアを制御するために使うソフトウェアだ。たとえば、プリンタやキーボードといったハードウェアを使うためには、そのハードウェアに対応したドライバが必要なんだよ。一方、スタブは、まだ完成していないプログラムの一部を仮で動かすためのものだから、ドライバは実際のハードウェアを操作するためのソフトウェアで、スタブは仮のソフトウェアの一部だという違いがあるんだ。」
「なるほど！ドライバは実際の機械を動かすためのソフトで、スタブは仮のプログラムを作るためのものなんですね！」とアキコは理解を深めました。
「その通り。ドライバはハードウェアを動かすもので、スタブはソフトウェアの仮の部分を作るためのもの。どちらも開発やテストにおいて重要な役割を果たすけれど、目的は全く異なるんだよ。」
スタブの定義
② 実際の事例
スタブは、企業や自治体でシステム開発を進める際に、テストや開発の効率化を図るためによく使われています。特に、複雑なシステムや、複数のチームが同時に開発を進めている場合に、スタブは重要な役割を果たします。
ある大手IT企業では、新しいウェブサービスを開発していましたが、バックエンドのシステムがまだ完成していない時期がありました。このとき、フロントエンドの開発を進めるために、スタブを使用しました。バックエンドが未完成でも、スタブを使うことで、ユーザーインターフェース部分のテストを進めることができ、バックエンドが完成する前に、全体の動作確認を行えたのです。
また、ある自治体では、住民向けのオンライン申請システムを開発していましたが、外部の納税システムとの連携が必要でした。しかし、その連携システムがまだ準備できていない段階で、スタブを使用して仮のテストを行うことで、開発を止めずに進めることができました。最終的に外部システムが完成し、本番環境と接続する際にはスムーズに移行できました。
スタブの使用は、開発の早い段階でテストを進めることができるため、システムの品質を向上させ、全体の開発期間を短縮することに繋がります。
③ クイズや小テスト
クイズ1 スタブはどのような目的で使われますか？
A. プログラムの実行速度を上げるため
B. 完成していない部分を仮に動作させるため
C. プログラムのデータを保存するため
クイズ2 スタブがよく使われるのはどのような状況ですか？
A. プログラムがすべて完成した後
B. まだ実装されていない機能をテストする際
C. ソフトウェアのユーザーインターフェースを設計する際
クイズ3 スタブとドライバの違いは何ですか？
A. スタブは仮のコードで、ドライバはハードウェアを制御するソフトウェア
B. ドライバは仮のコードで、スタブはハードウェアを制御するソフトウェア
C. スタブとドライバは同じもの
回答
- 正解：B
- 正解：B
- 正解：A
応用情報技術者試験 平成23 問48
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