第2正規形
① 物語性を取り入れた説明: 「第2正規形」
IT企業で新入社員のケンジは、データベース管理の仕事を任されていました。しかし、顧客情報と購入履歴が一つのテーブルに混在しており、管理が難しくなっていました。そこで、ケンジは課長に相談しました。
「課長、このデータベース、顧客の名前や住所と、購入した商品の情報が一緒に混じっていて、整理が難しいです。どうすればいいですか?」
課長は笑いながら「それは第2正規形を使って整理するといいぞ」と言いました。
「第2正規形ですか?聞いたことはあるんですが、どういうことなんですか?」とケンジは首をかしげました。
「第2正規形は、データを整理して、無駄を省くための次のステップだよ。まず、前提として、第1正規形はデータが重複していない状態を作るためのものだったよね」と課長は説明を始めました。
「そうですね。第1正規形でデータを分けて、重複をなくしました。でも、それが第2正規形とどう関係しているんですか?」
「いい質問だな、ケンジ。第2正規形は、さらに一歩進めて、部分関数従属を取り除くんだ。たとえば、顧客の名前や住所の情報は、購入履歴に関係していないよね。つまり、顧客情報と購入履歴は別々のものなのに、一緒のテーブルに入っていると無駄が多くなる。そこで、購入履歴を別のテーブルに分けて、顧客情報は顧客情報で整理するんだよ」
「なるほど。つまり、顧客情報と購入履歴を分けて、必要なデータだけを各テーブルに入れるんですね」とケンジは納得しました。
「その通り!第2正規形では、主キーに完全に依存しているデータだけをそのテーブルに残し、他のデータは分ける。これによって、管理がしやすくなり、データの重複も減らせるんだよ」
「でも、似たような用語で第3正規形も聞いたことがあるんですが、それとはどう違うんですか?」とケンジが尋ねました。
「第3正規形もデータの整理なんだけど、主に推移的従属を解消するんだ。これも第2正規形のさらに進んだステップで、もっと複雑な関係のデータを整理するためのものだよ。今は第2正規形をマスターして、基本的なデータ整理をしっかり覚えよう」
課長がケンジに説明を続けます。
「じゃあ、第2正規形の具体的な例を表で見てみようか。例えば、下のようなデータがあるとするね。」
第1正規形の状態
顧客ID | 顧客名 | 住所 | 購入商品 | 購入日 |
---|---|---|---|---|
1 | 田中太郎 | 東京 | ノートPC | 2023-10-01 |
1 | 田中太郎 | 東京 | マウス | 2023-10-02 |
2 | 鈴木花子 | 大阪 | スマートフォン | 2023-09-15 |
2 | 鈴木花子 | 大阪 | イヤホン | 2023-09-16 |
「ここでは、顧客情報と購入商品情報が一緒に入っている。これだと、同じ顧客の情報が重複しているんだよね。田中太郎さんの住所が何度も出てきてしまう。第2正規形では、これを次のように分けるんだ。」
第2正規形の状態(顧客情報と購入履歴を分ける)
顧客テーブル
顧客ID | 顧客名 | 住所 |
---|---|---|
1 | 田中太郎 | 東京 |
2 | 鈴木花子 | 大阪 |
購入履歴テーブル
購入ID | 顧客ID | 購入商品 | 購入日 |
---|---|---|---|
101 | 1 | ノートPC | 2023-10-01 |
102 | 1 | マウス | 2023-10-02 |
103 | 2 | スマートフォン | 2023-09-15 |
104 | 2 | イヤホン | 2023-09-16 |
「これで顧客の情報が重複しないように整理され、各顧客に関連する購入履歴が別のテーブルに分けられた。これが第2正規形だよ。こうすれば、データを管理しやすくなって、重複も避けられるんだ。」
「なるほど! 第2正規形は、主キーに完全に依存しているデータだけをそのテーブルに残して、他のデータを分けるんですね!」
② 実際の事例: 第2正規形の使用例
第2正規形は、多くの企業や自治体で、データの効率的な管理に使われています。
例えば、大手の通販サイトでは、顧客情報や購入履歴を第2正規形に基づいて管理しています。
顧客名や住所、購入商品の情報が一つのテーブルに混在していると、データの重複や管理の煩雑さが生じますが、第2正規形を使ってこれらを別々のテーブルに分けることで、データの一貫性が保たれ、管理がしやすくなっています。
また、自治体でも住民の情報を効率的に管理するために第2正規形が活用されています。
例えば、住民の基本情報と税務情報が一緒のデータベースにあると、更新や管理が複雑になりますが、これらを第2正規形に基づいて整理することで、データの一貫性が保たれ、システムの効率が向上しています。
さらに、最近ではクラウドサービスを利用してデータを管理する際にも、正規化の重要性が強調されています。クラウド上で複数のデータベースを使う企業では、データの一貫性と効率性を保つために、第2正規形をはじめとする正規化の手法を積極的に導入しています。
➂ クイズや小テスト
クイズ1
第2正規形の主な目的は何ですか?
A. 部分関数従属を解消する
B. データの検索速度を上げる
C. データの暗号化を行う
クイズ2
第2正規形にするためには、どのような処理が必要ですか?
A. データを結合する
B. データを分割し、主キーに完全依存するデータのみを残す
C. データを暗号化する
クイズ3
第2正規形と第3正規形の違いは何ですか?
A. 第2正規形は部分関数従属を解消し、第3正規形は推移的従属を解消する
B. 第2正規形はデータを複製し、第3正規形はデータを暗号化する
C. 両者は同じ意味
⑤ 回答
- A – 第2正規形は部分関数従属を解消するための手法です。
- B – 第2正規形では、データを分割し、主キーに完全依存するデータだけを残します。
- A – 第2正規形は部分関数従属を解消し、第3正規形は推移的従属を解消します。