【中学生でもわかるIT用語】ホモモルフィック暗号とは 物語と実際の事例でわかりやすく解説

『ハ行』の用語

ホモモルフィック暗号
Homomorphic Encryption

① ストーリー性を取り入れた説明:ホモモルフィック暗号とは?

大手IT企業のセキュリティ部門に配属されたばかりの新入社員ミナミは、ある日、チームの課長に質問しました。

ミナミ:「課長、最近『ホモモルフィック暗号』という単語を社内の勉強会で聞いたんですが、正直よく分かりません…普通の暗号とどう違うんでしょうか?」

課長:「いい質問だな、ミナミ。じゃあちょっと例え話をしてみようか。たとえば、顧客の個人情報を含むファイルがあるとして、それをそのまま外部のAIに渡すのはリスクが高いよね?」

ミナミ:「はい、それは情報漏えいのリスクが心配です。」

課長:「そこで、ホモモルフィック暗号の登場だ。これは暗号化されたままのデータに対して処理や計算ができる特殊な暗号技術なんだよ。」

ミナミ:「えっ…暗号化したまま計算ができるんですか? それって、解読しないと何もできないのが普通じゃないんですか?」

課長:「普通の暗号、たとえばAESRSAはその通り。一度復号してから処理する必要がある。でもホモモルフィック暗号は違う。暗号化されたままで“加算”や“乗算”などの計算ができるんだ。」

ミナミ:「ということは、外部のAIサービスやクラウド上でデータ分析をしても、個人情報は見られないまま使えるってことですか?」

課長:「その通り。個人情報を保護したまま高度な演算を可能にする。医療、金融、公共分野なんかで今注目されている技術だ。特に、生成AIやクラウドサービスとの連携が増えている今、データの秘密性を維持したまま活用できるのは大きな強みになる。」

ミナミ:「それって、社内のゼロトラスト戦略や機密情報の外部処理と相性が良さそうですね!」

課長:「まさにその通りだよ。ちなみに、処理速度や実装の難しさという課題もあるが、研究やツールの進化で徐々に実用性が高まってきている。これから注目しておくべき分野の一つだね。」


ホモモルフィック暗号の定義

ホモモルフィック暗号(Homomorphic Encryption)とは、暗号化されたままのデータに対して、加算・乗算などの演算処理を行い、復号後に正しい結果を得られる暗号方式。データを第三者に見せることなく、演算や分析を外部で行えるのが特徴。

他の暗号方式との違い(比較表)

項目通常の暗号(AES等)ホモモルフィック暗号
暗号化されたまま計算×
セキュリティレベル
処理速度高速遅め(改善中)
主な用途通信保護、保存分析処理、機密演算

② 実際の事例

【事例1:医療業界での安全なAI活用】

大手医療機関では、患者の診療データをAIで分析し診断支援を行っていますが、個人情報を含むデータをそのままクラウドに送るのはリスクが高いとされていました。そこで、データをホモモルフィック暗号で暗号化したままAIに渡すことで、情報を守りながら正確な処理が可能となり、個人のプライバシーを保護しつつAIの利便性を実現しています。

【事例2:金融業界のリスクスコア計算】

ある証券会社では、顧客の資産状況や取引履歴をもとにAIで信用スコアを算出しています。しかし、これらのデータは社外に出せない機密情報。そこでホモモルフィック暗号を導入し、暗号化されたままスコアの計算が可能な体制を構築しました。これにより、外部サービスと連携しながらも高いセキュリティを維持しています。


③ クイズや小テスト

クイズ1

ホモモルフィック暗号の最大の特徴は?
A. 通信速度が速い
B. 暗号化されたまま計算ができる
C. データが不要になる

クイズ2

ホモモルフィック暗号が特に有効な分野は?
A. 音楽配信
B. 映像編集
C. 医療・金融の情報処理

クイズ3

通常の暗号方式との違いは?
A. 暗号の解除キーが必要ない
B. 計算結果の正確性が低い
C. 演算処理が暗号化状態でできる


回答と解説

クイズ1の答え:B. 暗号化されたまま計算ができる
→ データを解読せずに処理できることが最大の特徴です。

クイズ2の答え:C. 医療・金融の情報処理
→ 機密性が高く、かつ分析が求められる場面で活用されます。

クイズ3の答え:C. 演算処理が暗号化状態でできる
→ 通常の暗号では不可能な計算ができる点が大きな違いです。

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