NFT
①物語性のある説明:NFTとは?~デジタルデータが「世界に1つだけ」になる仕組み~
放課後のITクラブで、中学生のユウキが先生に質問しました。
「先生、最近『NFT』って言葉をよく聞くんですけど、何なんですか?」
先生は微笑みながら答えました。
「NFTは Non-Fungible Tokenの略で、日本語で言うと『非代替性トークン』のことだよ。『非代替性』というのは、『他のもので代わりがきかない』という意味なんだ。例えば、100円玉は誰の持っているものでも同じ価値だから代替性があるけど、ユウキくんが描いた絵は世界に1つしかないから代替性がない、つまり『非代替性』があるということになるんだよ。」
「なるほど、自分だけのものってことですね!」
「その通り。そして『トークン』というのは、デジタルの世界で使われる証明書みたいなものだ。例えば、ゲームの中のアイテムや、ネット上のデジタルデータに『これは誰のものか』という情報を記録するための仕組みだね。」
「じゃあ、NFTは『他のもので代わりがきかない証明書』ってことですか?」
先生は頷いて続けました。
「その通りだよ!NFTを使うと、デジタルデータに『この1つだけが本物だ!』と証明できる仕組みが作れるんだ。今までは、デジタルデータは簡単にコピーできたよね?例えば、インターネットで見つけた画像を保存すると、誰でも同じものを持てる。でもNFTを使うと絵や音楽、動画みたいなデジタル作品が、ただのコピー可能なデータじゃなくて、そのデータが『唯一無二』のものとして証明されるんだ。
ユウキは首をかしげました。
「どうやって証明するんですか?」
先生は黒板に図を書きながら説明しました。
「NFTはブロックチェーンという技術を使うんだ。ブロックチェーンは、データが連続したブロックのようにつながっていて、データを改ざんできない仕組みだよ。これによって、NFTに『誰が持っているか』『いつ作られたか』という記録が残り、それが唯一のものだと証明されるんだ。ブロックチェーンについては下記の本が分かりやすいから読んでみるといいよ。」
「ありがとうございます。例えばどういうものがNFTになるんですか?」
「良い質問だね。NFTは主にデジタルアートや音楽、ゲームアイテム、動画など、デジタルコンテンツの証明書として使われることが多いんだ。例えば、1枚のデジタルアートにNFTをつければ、誰がそのアートを持っているかがブロックチェーン上に記録されるから、コピーとは違って価値が生まれるんだよ。」
NFTと似ているものの違い
ユウキが続けて質問しました。
「先生、それって普通のデジタルデータと何が違うんですか?」
先生は次の表を黒板に書きました。
項目 | 通常のデジタルデータ | NFT |
---|---|---|
コピーの可能性 | 何度でもコピー可能 | コピーはできるが『本物』は1つ |
所有権の証明 | 所有者の証明はない | ブロックチェーンで所有権が証明される |
価値の有無 | 無料または低価値 | 唯一性があるため高い価値がつくことも |
「なるほど!NFTをつけると、デジタルでも本物かどうかが分かるんですね!」
「そうだよ。例えば、NFT付きのアートは世界に1つしかないから、コレクターが高額で購入することもあるんだ。」
ユウキは少し困惑した表情で言いました。
「うーん…理屈ではわかるんですけど、画像や動画としてはコピーしてしまえば同じように見れるデータなのに、そんなに価値の違いを出せるものなのですか?」
先生は黒板に新しい図を書きながら説明を続けました。
「いい質問だね。確かに、見た目はコピーすれば同じデータに見える。でも、NFTはその所有権や『このデータは本物だ』という証明が価値なんだよ。例えば、モナ・リザの絵が博物館にあるけど、ポスターや写真では本物と同じ価値にはならないよね?」
「確かにそうですね。でもデジタルの世界だと、それが実感しにくい気がします。」
先生はさらに説明を続けました。
「じゃあ、具体的な例を挙げてみよう。2021年に、デジタルアーティストのBeepleという人のNFTアートが約75億円でオークションに出品されて話題になったんだ。」
「75億円!?そんなに高く売れるんですか?」
「そうなんだ。その作品の名前は『Everydays: The First 5000 Days』。Beepleが5000日間、毎日描いたデジタルアートをまとめたものだよ。この作品はNFTがついているから、所有権が保証されている。本物を持っているということがコレクターにとって価値になるんだ。」
「でも、それを買った人は画像をみんなにコピーされても気にしないんですか?」
「もちろん気になる人もいるかもしれないけど、本物を所有していることでステータスや権利を得られる。例えば、そのデータを展示したり、貸し出したりして新たな収益を生むこともできるんだ。」
「なるほど、ただのデータじゃなくて、それを活用できる仕組みも含めて価値なんですね!」
先生はさらに続けました。
「他にもNFTは大きな市場になっていて、2022年にはNFT市場の取引規模が約4兆円に達したんだ。特に、ゲーム業界やメタバースと呼ばれる仮想空間での需要が伸びている。」
「ゲームや仮想空間でも使われてるんですか?」
「そうだよ。例えば、ベトナムで開発されたブロックチェーンゲームの『Axie Infinity』というゲームでは、アクシーというNFTを使ったキャラクターが取引されて、プレイヤーがそれで収益を得る仕組みがある。これが、ゲームを楽しみながらお金も稼げるという新しい形を作り出しているんだ。1日に100万人以上のユーザーがプレーし、取引量が10億ドルに達した最初のNFTゲームとなったんだ。」
「NFTって、アートだけじゃなくていろいろな分野で使われてるんですね!」
「その通り。NFTはアートやゲームだけでなく、音楽やチケット、さらには証明書にも活用されているんだよ。これからもっといろいろな場面で目にするようになると思うよ。」
NFTの定義
②実際の事例:NFTの使用例
- デジタルアートの販売
有名なデジタルアート作品がNFTとして販売され、数億円で取引された事例があります。例えば、デジタルアーティストBeepleの作品は約75億円で落札されました。 - ゲーム内アイテム
オンラインゲームでNFTを利用することで、武器やキャラクターアイテムが他のユーザーと取引可能になり、所有権が明確になります。
鳥取県や岡山県では鉄腕アトムのNFTとコラボをしたゲームも実施しています。『鉄腕アトム』Web3.0メタバースNFTゲーム、第二弾のご当地コラボが岡山市に決定!NOBORDERZ FZEのプレスリリース(2022年11月11日 09時30分)『鉄腕アトム』Web3.0メタバースNFTゲーム、第二弾のご当地コラボが岡山市に決定! - 音楽や動画の販売
音楽や動画にNFTをつけることで、著作権の保護や収益分配が適切に管理されるようになっています。 - イベントのチケットや証明書
コンサートチケットや証明書にもNFTが活用され、不正なコピーや転売を防ぐ仕組みとして注目されています。
➂クイズで確認しよう!
クイズ1 NFTの主な特徴は何でしょう?
A. データをコピーしやすくする技術
B. デジタルデータに唯一性を証明する技術
C. デジタルデータを完全に削除する技術
クイズ2 NFTが使われる主な分野はどれでしょう?
A. デジタルアートやゲーム内アイテム
B. 本の印刷技術
C. 食品の保存技術
クイズ3 NFTが「唯一のもの」として証明される理由は何でしょう?
A. ブロックチェーンを利用しているから
B. すべてのデータを暗号化するから
C. コピーが絶対にできないから
回答
クイズ1の答え
B. デジタルデータに唯一性を証明する技術
(解説:NFTはデータに唯一性を与え、証明するための技術です。)
クイズ2の答え
A. デジタルアートやゲーム内アイテム
(解説:NFTはデジタルアートやゲーム内アイテムなどの所有権証明に使われます。)
クイズ3の答え
A. ブロックチェーンを利用しているから
(解説:NFTはブロックチェーン技術を使って所有権や取引履歴を記録しています。)