【中学生でもわかるIT用語】NAPTとIPマスカレードとは 物語と実際の事例でわかりやすく解説

『I』から始まる用語

NAPT(Network Address Port Translation)

① 物語性を取り入れた説明: NAPT

ある晴れた日、田中君の家でインターネットが急に遅くなった。

ルーターの問題かな?田中君は何が問題なのか理解しようと考えた。周りをみて彼が気づいたのは、家族全員が同時にインターネットを使っていることだった。

ゲームをする弟、オンライン授業の妹、そしてリモートワークをするお父さん。

皆、一つの外部IPアドレスを共有していた。

田中君はそこで気づいた。「もしかして、これがネットが遅い原因かも?」と。

 

ここで活躍するのがNAPT(Network Address Port Translation)です。

田中君の家のルーターはNAPTを使い、各家庭用デバイスからのリクエストにポート番号を付けて外部のサーバーに送ります。これにより、同じ外部IPアドレスを使いながらも、各デバイスがスムーズにインターネットを利用できるようになるはずです。

たとえば、ゲームをしている弟にはポート番号30000が割り振られ、オンライン授業に出ている妹にはポート番号40000が、そしてリモートワークをしているお父さんにはポート番号50000が割り振られます。このようにして、外部のサーバーはどのリクエストがどのデバイスから来たのかを識別できます。

田中君はルーターの設定をチェックし、NAPTが機能するように確認しました。その結果、家族全員のインターネット接続が以前よりもスムーズになり、遅延が改善されたのです。

補足

ポート番号とは、各デバイスが通信を行う際の「出口」や「入口」のようなものです。例えば、ウェブブラウジングは通常ポート80を使い、メール送信はポート25を使います。しかし、家庭内のネットワークでは、ポート番号は家庭内の各デバイスからのリクエストに自動的に独自の異なるポート番号に変換されることが多いのです。

グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスとポート番号の関係に関してはこちらの記事

②NAPTとIPマスカレードの関係

NAPT(Network Address Port Translation)とIPマスカレードは、よく一緒に使われる用語で、いずれもネットワークアドレス変換(NAT)の一種です。両者はインターネット接続を複数のデバイスで共有する際に用いられる技術であり、しばしば一つのルーターで実装されます。

NAPT

NAPTは、複数の内部IPアドレスを一つの外部IPアドレスに変換しますが、その際に各接続にポート番号を追加して通信を識別します。このポート番号が重要な役割を果たし、同じ外部IPアドレスを使っていても各デバイスからのリクエストとレスポンスを正確にルーティングします。

IPマスカレード

IPマスカレードもまた、複数の内部IPアドレスを一つの外部IPアドレスに変換する機能を持ちます。しかし、IPマスカレードは通常、LinuxのようなUnixベースのシステムで使われる用語です。基本的にはNAPTと同じ役割を果たすが、設定や管理が異なる場合があります。

表形式での比較

 NAPTIPマスカレード
主な用途複数のデバイスで一つの外部IPを共有同上
ポート番号使用する使用する
主な使用環境ルーター、ファイアウォールLinux、Unixベースのシステム

両者は非常に似た機能を果たすため、状況やニーズに応じて使い分けがされます。総じて、NAPTはより一般的な用語であり、IPマスカレードは特定のオペレーティングシステムでの実装にしばしば言及されます。

 

 

② 実際の事例: 企業や自治体などで

NAPTの使用例

企業:IBM

IBMは世界中にオフィスとデータセンターを持っています。数千台にもおよぶコンピューターがネットワークに接続されていますが、全てに固有の外部IPアドレスを割り当てるわけにはいきません。そこでIBMは、各オフィスやデータセンターでNAPTを活用しています。これにより、内部ネットワークのIPアドレスとポート番号を組み合わせて、外部へのアクセスを効率よくルーティングしています。

自治体:ニューヨーク市

ニューヨーク市では、公共のWi-Fiサービスを提供する際にNAPTが使われています。これにより、タイムズスクエアやセントラルパークなどの多くの公共スペースで、市民や観光客が一つの外部IPアドレスを共有しながらもスムーズにインターネットを利用できます。

③ クイズや小テスト:

  1. NAPTは何の略語ですか?
    A) Network Application Port Type
    B) Network Address Port Translation
    C) Network Analysis Port Tunnel

  2. ポート番号は何に使用されますか?
    A) インターネット速度を測る
    B) 通信の「出口」や「入口」として、通信を識別する
    C) Wi-Fiのパスワードを設定する


  3. 企業がNAPTを使用する主な理由は何ですか?
    A) 社員がゲームをプレイするため
    B) セキュリティ強化とコスト削減
    C) インターネットの速度を上げるため
回答:

1.B) Network Address Port Translation
2.B) 通信の「出口」や「入口」として、通信を識別する
3.B) セキュリティ強化とコスト削減

 

応用情報技術者令和2年秋期 午前問34

TCP,UDPのポート番号を識別し,プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスとの対応関係を管理することによって,プライベートIPアドレスを使用するLAN上の複数の端末が,一つのグローバルIPアドレスを共有してインターネットにアクセスする仕組みはどれか。

ア: IPスプーフィング

イ: IPマルチキャスト

ウ: NAPT

エ: NTP

 

回答

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