【中学生でもわかるIT用語】シックスシグマとは 物語と実際の事例でわかりやすく解説

『サ行』の用語

シックスシグマ

① ストーリー性を取り入れた説明:

新入社員のユウタは、製造部門に配属されて3か月。ある日、課長から「この改善プロジェクトはシックスシグマの手法で進める」と指示を受けた。

ユウタ:「課長、シックスシグマって何ですか?」
課長:「簡単に言えば、“ミスや不良をほぼゼロに近づけるための改善手法”だ。品質管理の世界では超有名なんだよ」

課長はホワイトボードに大きなギリシャ文字「σ(シグマ)」を書いた。
課長:「このシグマは統計で“標準偏差”を意味する。製品やサービスの品質を数値で表すときに使うんだ。標準偏差については覚えているかな? これはデータのバラつきを表すもので、各データが平均からどれだけ離れているかを平方して平均し、それを平方根にしたものだ。つまり、√(各データと平均値の差の二乗の合計 ÷ データの数)のように計算するんだよ」

課長は図を描きながら説明を続けた。

  • ±1σの範囲には、全体の68.26%のデータが入る

  • ±2σの範囲には、全体の95.44%が入る

  • ±3σの範囲には、全体の99.73%が入る

課長:「シックスシグマは±6σの範囲でほぼ全てのデータを収め、不良率を100万回あたり3.4回にまで減らすことを目指すんだ」

ユウタ:「100万回のうち3回!? ほぼ完璧ですね」
課長:「そう。だから製造業だけじゃなく、ITやサービス業でも使われるんだ。


シックスシグマの進め方(DMAIC)

ステップ意味主な作業内容
D(Define)定義課題や改善目標を明確化
M(Measure)測定現状データを収集し品質を数値化
A(Analyze)分析問題の原因を特定
I(Improve)改善解決策を実行
C(Control)管理改善後の状態を維持・管理

間違えやすい用語との違い

用語意味シックスシグマとの違い
シックスシグマ統計とデータ分析を使った品質改善手法データ重視で、ミスを統計的に減らす
TQM(総合的品質管理)組織全体で品質を管理する考え方統計に限らず、組織文化や従業員教育も重視
カイゼン小さな改善を積み重ねる日本発の手法大掛かりな統計分析は必須ではない

ユウタ:「つまり、シックスシグマは“数値で品質を極限まで高める科学的な改善方法”ってことですね」
課長:「そういうこと。現場の感覚だけでなく、数字で裏付けるのがポイントだよ。いろいろな本が出版されているから1冊読んでおくといいよ。」


IT用語としての「シックスシグマ」の定義

シックスシグマ(Six Sigma)とは、統計的手法とデータ分析を活用して、製品やサービスの欠陥を100万回あたり3.4回以下に抑えることを目指す品質改善手法。正規分布の±6σにほぼ全データを収める水準を基準とし、DMAICサイクルで課題定義から改善・維持まで体系的に進める。

② 実際の事例

モトローラは1980年代後半、製造工程での不良率を下げるためにシックスシグマを開発し、5年間で品質を10倍改善、コストを大幅削減した。
GE(ゼネラル・エレクトリック)は1995年にCEOジャック・ウェルチが全社的に導入し、年間数十億ドルのコスト削減を実現。この成功でシックスシグマは世界中に広まった。
日本でも、トヨタ自動車が製造品質の更なる向上のためにシックスシグマ手法を活用。製造ラインの欠陥率低減や生産効率改善に貢献している。


③ クイズや小テスト

クイズ1

シックスシグマが目指す理論上の不良率はどれ?
A. 100万回あたり34回
B. 100万回あたり3.4回
C. 100万回あたり0回

クイズ2

正規分布で±2σの範囲に含まれるデータの割合は?
A. 約68%
B. 約95%
C. 約99%

クイズ3

シックスシグマとTQMの主な違いは?
A. シックスシグマは統計重視、TQMは組織文化も重視
B. シックスシグマは文化重視、TQMは統計重視
C. 両方とも全く同じ方法


⑤ 回答と解説

  • クイズ1:B
     理論上、不良率は100万回あたり3.4回を目標とする。

  • クイズ2:B
     ±2σの範囲には約95.44%のデータが含まれる。

  • クイズ3:A
     シックスシグマは統計分析中心、TQMは文化や全員参加型の品質管理を重視。

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