新入社員リナ:「課長、最近ニュースで“スマートグリッド”って聞いたんですけど、何ですか?」
課長:「いい質問だな、リナ。スマートグリッドは電力の供給と消費をITで賢く管理する仕組みのことだ。普通の電力網は、発電所から送られた電気が一方通行で流れるだけ。でもスマートグリッドは双方向で、情報もやり取りする。」
リナ:「双方向ってことは、電気を使うだけじゃなくて送ることもできるってことですか?」
課長:「そうだ。例えば家庭の太陽光発電で余った電気を電力会社に売れるし、そのやり取りをITシステムが自動で最適化する。これがスマートグリッドの強みだ。」
リナ:「電力は貯蔵することが難しいと昔習った気がするのですが、今の技術でもまだ難しいのですか?」
課長:「その通り。電気は大量にためるのが難しいエネルギーだ。ただ、蓄電池や電気自動車のバッテリー、揚水発電などの方法はある。でも発電量と消費量のバランスをリアルタイムで調整するほうが効率的だから、スマートグリッドが重要なんだ。」
リナ:「なるほど、蓄電もできるけど、リアルタイム調整でロスを減らすんですね。」
課長:「そう。さらに電力需要が高い時間帯には、スマートメーターが知らせてくれるから、家電をオフピークに使うよう調整できる。電気自動車を蓄電池として活用するV2G(Vehicle to Grid)もある。」
リナ:「似た言葉で“スマートメーター”ってありますけど、違いは?」
課長:「スマートメーターは電気の使用量をリアルタイム計測・通信できる機器。スマートグリッドは、そのスマートメーターや発電設備、ITシステムをつなげた電力網全体の仕組みなんだ。」
スマートグリッドとスマートメーターの比較表
| 項目 | スマートグリッド | スマートメーター |
|---|---|---|
| 主な役割 | 電力の供給・需要をITで最適制御する仕組み | 電力使用量をリアルタイム計測・通信 |
| 範囲 | 電力網全体 | 各家庭や施設単位 |
| 双方向通信 | あり(電力+情報) | あり(情報のみ) |
| 活用例 | 太陽光の余剰電力売電、V2G、需要ピークの平準化 | 電気料金の時間別設定、遠隔検針 |
東京電力パワーグリッドのスマートグリッド実証
東京電力は、再生可能エネルギーの変動に対応するため、スマートメーターとAIを組み合わせた需給調整を実施。家庭や事業所の電力使用状況をリアルタイムで収集し、需要が高まる前に蓄電池や発電設備の出力を調整する仕組みを構築しています。
関西電力のV2G実証実験
関西電力は、電気自動車のバッテリーを電力系統とつなぎ、需要ピーク時に電力を供給するV2Gの実証を行いました。これにより、送電網全体の負荷を分散し、停電リスクを軽減できる可能性が示されました。
海外事例:米国カリフォルニア州
カリフォルニアでは、再生可能エネルギーが多く導入されており、その変動を補うためにスマートグリッドが普及。太陽光発電のピーク時間に余剰電力を蓄電し、夕方の需要ピークに放電する仕組みが稼働しています。
情報源:
スマートグリッドの最大の特徴はどれでしょうか?
A. 発電所を使わずに電力を作る
B. 電力を永久に蓄えることができる
C. 電力と情報を双方向でやり取りし需給を最適化する
スマートグリッドとスマートメーターの違いとして正しいものは?
A. スマートメーターは電力の制御を行う
B. スマートグリッドは電力網全体を制御する
C. スマートグリッドは家庭単位のみの仕組み
V2Gの説明として正しいものはどれでしょうか?
A. 家庭のインターネット速度を上げる仕組み
B. 電気自動車のバッテリーを電力網とつなぎ電力供給する仕組み
C. 家庭の電気を全て太陽光でまかなう仕組み
クイズ1:C(スマートグリッドは電力と情報を双方向でやり取りし需給を最適化する)
クイズ2:B(スマートグリッドは電力網全体を制御する)
クイズ3:B(V2Gは電気自動車のバッテリーを電力供給に活用する仕組み)