【中学生でもわかるIT用語】PUEとは 物語と実際の事例でわかりやすく解説

『P・Q』から始まる用語

PUE(Power Usage Effectiveness)

① ストーリーでわかる「PUE(Power Usage Effectiveness)」

新入社員のカナは、大手IT企業のデータセンター見学ツアーに参加していた。
案内役は技術課長の田中さん。ずらりと並ぶサーバーの光景にカナは目を丸くする。

カナ:「課長、ここってすごく涼しいですね!冷房代、相当かかりそう…」

田中:「いいところに気づいたね。実はデータセンターでは、サーバーを冷やすために大量の電力が使われているんだ。だから私たちは“PUE(Power Usage Effectiveness)”という数値で電力の効率を管理しているんだよ。」

カナ:「PUE?それってどういう意味ですか?」

田中:「PUEは“データセンター全体で使う電力 ÷ サーバー機器で使う電力”で計算する。たとえば、サーバーに100の電力を使い、空調や照明などを含めて200使っているなら、PUEは 2.0 になる。」

カナ:「つまり、サーバー以外にどれだけ無駄があるか、ってことですか?」

田中:「その通り!理想的なPUEは 1.0。つまり、電力のすべてがサーバーに使われている状態。だけど実際には冷却や電源装置も必要だから、1.0にはなかなかならないんだ。」


✅ PUEの考え方(例)

項目使用電力説明
サーバー機器100kW実際に処理を行う電力
空調・照明・UPSなど100kW冷却・照明・変換のロス
合計200kWデータセンター全体の電力
PUE200 ÷ 100 = 2.0効率が2倍に悪化している状態

カナ:「じゃあ、PUEが小さいほど省エネってことですね!」

田中:「その通り。GoogleやAmazonのデータセンターは1.1〜1.2台まで改善しているんだ。これは、液体冷却外気冷却といった技術を使っているからだよ。」

カナ:「外気冷却って、外の空気をそのまま使うんですか?」

田中:「そう。外が寒ければ、冷房を使わなくても冷やせるんだ。だから最近は、北海道や北欧のような寒冷地にデータセンターを設置する動きがある。自然の冷気を使えば冷却コストが減って、PUEも改善できるんだよ。」

カナ:「なるほど!つまり、寒い場所ほどPUEを良くできるってことですね!」

田中:「そのとおり。でも寒い地域に建てるには、地震や通信遅延の問題もあるから、全部が寒冷地になるわけじゃない。だからこそ、冷却技術の工夫が各社の腕の見せどころなんだ。」


✅ PUEと似た用語の違い

用語意味PUEとの違い
DCiE(Data Center Infrastructure Efficiency)PUEの逆数(=サーバー電力 ÷ 全体電力 × 100)PUEが低いほど良いが、DCiEは高いほど良い
CUE(Carbon Usage Effectiveness)CO₂排出量を考慮した効率指標PUEは電力効率のみ、CUEは環境負荷も含む
WUE(Water Usage Effectiveness)冷却に使う水の効率を示す電力ではなく水の使用効率を評価

カナ:「PUEって、まるで“データセンターのダイエット指数”みたいですね!」

田中:「いい例えだね。電気の使い方がスマートなデータセンターほど、PUEが小さい。それが世界中で競われているんだよ。」

〈PUEの定義〉
PUE(Power Usage Effectiveness)とは、データセンター全体の消費電力を、IT機器(サーバーやストレージなど)の消費電力で割った値。電力利用効率を示す国際的な指標で、値が1に近いほど効率が良いことを意味する。


② 実際の事例:企業・自治体でのPUE改善への取り組み

世界的に有名なGoogleは、PUEを平均1.10まで改善し、業界最先端の省エネ運用を実現している。Googleのデータセンターでは、AIによる温度管理や、外気を取り込む「フリークーリング」技術を活用し、冷却コストを最小化している(出典:Google Data Centers Efficiency)。

日本でも、NTTグループがデータセンターのPUE改善を進めており、「東京第6データセンター」ではPUE1.2台を達成。AI制御による空調最適化と、地下水利用型冷却システムを導入している。

さらに、環境省は「グリーンデータセンター化」を推進し、PUEを用いた評価基準を定めている。特に行政機関では、PUE改善をカーボンニュートラル政策の一環として導入しており、2030年までにPUE1.3以下を目標に掲げている。

PUEは、もはや単なる技術指標ではなく、企業の環境経営力を示す指標として注目されている。


③ PUEの理解をチェック!3択クイズ

クイズ1

PUEが「1.0」に近いほどどうなる?

A. 電力効率が良い
B. 電力効率が悪い
C. サーバーが増える


クイズ2

PUEの計算式として正しいものはどれ?

A. サーバー電力 ÷ 全体電力
B. 全体電力 ÷ サーバー電力
C. 全体電力 × サーバー電力


クイズ3

PUEが改善しやすい場所として正しいのはどれ?

A. 暑い地域
B. 寒い地域
C. 砂漠地帯


【答え】
クイズ1:A → PUEが1に近いほど、無駄のない電力利用を意味する。
クイズ2:B → PUE=全体電力 ÷ サーバー電力で求める。
クイズ3:B → 寒冷地では冷却コストが下がり、PUEを改善しやすい。


PUEは、データセンターの「電気の成績表」。
地球にも企業にも優しい省エネを目指す、未来のITを支える重要な指標なのです。

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