新入社員のカナは、営業部に配属されて3か月。ある日、部の全体会議で課長が「来期からOKRを導入する」と発表した。
カナ:「課長、OKRって何ですか? オーケーアール…?」
課長:「OKRはObjective and Key Results(目標と主要な成果)の略だ。会社やチーム、そして個人が同じ方向を向いて進むための目標管理の方法だよ」
課長はホワイトボードに2つの枠を書いた。1つ目はObjective(目的)、2つ目はKey Results(主要な成果指標)だ。
課長:「Objectiveは“何を達成したいか”という方向性を示す。ワクワクしてやる気が出るような目標にするんだ。Key Resultsは、その目標を達成できたかどうかを数字で測る指標だ。3〜5個程度に絞るのがコツだね」
カナ:「つまり、目的がゴールで、成果指標がゴールまでのチェックポイントなんですね」
課長:「その通り。たとえばObjectiveが“会社のブランド力を高める”なら、Key Resultsは“SNSフォロワー数を30%増やす”“顧客満足度を85%以上にする”みたいな感じだ」
カナ:「あれ?KPI(重要業績評価指標)と似てませんか?」
課長:「似てるけど違う。OKRは大きな方向性とそのための結果目標をセットで決める。KPIは主に日常の業務進捗を測るための細かい指標だ。違いを表にするとこうだ」
| 用語 | 意味 | 主な目的 |
|---|---|---|
| OKR | Objective(目的)とKey Results(成果指標)のセット | チームや個人の方向性を合わせ、大きな成果を生む |
| KPI | Key Performance Indicator(重要業績評価指標) | 業務プロセスや日々の進捗を定量的に管理 |
課長:「OKRは短期間(四半期や半年)ごとに設定して、達成率は100%じゃなくてもいい。むしろ70〜80%達成を目安にすることが多いんだ。高すぎる目標も低すぎる目標もダメで、挑戦的で現実的なラインを狙う」
カナ:「なるほど…失敗を恐れず、成長するための目標管理ってことですね」
Googleは創業初期からOKRを導入し、「検索エンジンで世界一になる」というObjectiveに対し、「検索速度を0.4秒以内にする」「インデックス数を倍増する」などのKey Resultsを設定して急成長した。
メルカリでも全社的にOKRを導入し、「海外市場での存在感を高める」というObjectiveの下、「海外ユーザー数を前年比200%に増加」「現地決済方法を5種類追加」など具体的な成果指標を設定している。
また、自治体でも、市民サービス向上を目的に「市役所窓口の待ち時間を半分にする」などのOKRを設定し、業務効率化や住民満足度向上を目指している。
これらに共通するのは、組織全体が同じ方向を向き、挑戦的な目標に取り組む文化を作ることだ。
OKRの正式名称はどれ?
A. Objective and Key Results
B. Objective and Key Performance
C. Organization Key Results
OKRとKPIの違いとして正しいものはどれ?
A. OKRは方向性と成果、KPIは日々の業務進捗
B. OKRは業務進捗、KPIは方向性と成果
C. 両方とも全く同じ意味
OKR設定時の達成率の目安として一般的に推奨されるのは?
A. 常に100%達成
B. 50%以下
C. 70〜80%程度
クイズ1:A
OKRは“Objective and Key Results”の略です。
クイズ2:A
OKRは大きな方向性と成果目標、KPIは日々の進捗管理に使う指標です。
クイズ3:C
挑戦的な目標設定のため、100%達成ではなく70〜80%程度を目安にします。