Categories: 中小企業診断士

【中小企業診断士必読】2025年版 中小企業白書・小規模企業白書の概要をやさしく解説!

【中小企業診断士必読】2025年版 中小企業白書・小規模企業白書の概要をやさしく解説!


はじめに:なぜ今、白書を読むべきか?

「最近、価格転嫁がうまくいかない」「補助金の申請に使える根拠が欲しい」「DXを進めたいけど何から始めればいいのか…」

そんな悩みを持つ経営者や中小企業診断士、地域支援機関の皆さまへ。

2025年版の中小企業白書・小規模企業白書は、まさにこうした“ w現場の課題”に対して答えを示してくれる、まさに「経営の羅針盤」です。

本記事では、2025年版白書の要点をわかりやすく整理し、特に現場支援や戦略提案で活用できる視点に絞ってご紹介します。

1. 白書とは?中小企業診断士こそ読むべき理由

● 中小企業白書とは?

中小企業庁が毎年発行する公的な報告書で、日本全国の中小企業の実態や課題、政策の成果を総括的に示したものです。

  • 景況感や業績動向の統計
  • 各政策の効果測定
  • 成功企業の事例紹介
  • 支援制度や補助金の活用事例

などを網羅しており、エビデンスに基づいた助言や計画立案に不可欠な一次情報源となります。

● 小規模企業白書との違い

  • より小規模な個人商店・家族経営・地域事業者にフォーカス
  • リアルな成功事例や失敗要因を詳しく紹介

💡診断士にとっては、企業規模に応じた提案内容の説得力を高めるための「具体事例ブック」としても活用できます。


2. 経営環境の変化:中小企業を取り巻く5つのリスク

白書は、2025年の中小企業が直面する以下のような厳しい環境を明示しています。

(1)原材料・エネルギーコストの高騰

  • 円安と国際情勢により仕入れ価格が上昇
  • エネルギー料金も上がり、コスト圧迫が進行
  • 中小企業の約70%が価格転嫁できていない(2024年中企庁調査)
  • 金利上昇の影響:「実質無利子融資」借入残高 約12兆円(中小企業庁)

(2)人手不足の深刻化

  • 少子高齢化の加速により若手人材の確保が困難
  • 特に地方や小規模企業では採用活動すら難航

(3)賃上げ圧力

  • 社会全体での賃上げ機運が高まり、給与水準の見直しが求められる

(4)金利上昇

  • コロナ融資の返済が本格化
  • 今後の借入は金利上昇の影響を受け、資金繰り悪化の懸念も

(5)価格転嫁の難しさ

  • 「仕入は上がるが販売価格は据え置き」という状況が続き、利益率の低下を招いている

3. キーワードは「経営力」——3つの視点での再構築

白書では、逆境の中でも成果を上げる企業に共通する「経営力」の源泉を3つの視点から整理しています。

(1)経営者の個人特性

  • 外部交流や学び直しに積極的な経営者は変化への対応力が高い
  • 他業種との交流やリスキリングが業績に好影響
  • 自己研鑽している経営者の方が業績改善割合が1.6倍

(2)戦略・計画の策定力

  • 経営計画を持ち、KPIを明確にしている企業は業績が安定
  • 価格設定や差別化戦略が練られている

(3)組織・人材マネジメント

  • 経営理念の浸透、財務情報の共有、社員との対話を重視
  • 離職率が低く、組織力の高い企業が多い

🔍白書ではこれらの要素が「複合的に組み合わさったときに真価を発揮する」と指摘。1つだけでなく、バランスが重要です。


4. 成長段階別戦略:規模に応じた戦い方

白書では、売上・従業員数に応じて企業の課題と戦略は変わることを強調しています。

企業ステージ 主な課題 有効な戦略
年商1億未満 顧客開拓、認知度不足 SNS活用、地域密着PR
年商1〜10億円 属人化、非効率 IT導入、業務標準化
年商10〜50億円 組織づくり、責任分担 幹部育成、外部人材登用
年商100億以上 成長鈍化、競争激化 海外展開、M&A、新規事業

💡診断士としては「どのステージか」を把握し、次の成長段階に向けた壁を一緒に乗り越える提案が重要です。


5. 小規模企業白書のリアルな事例に学ぶ

小規模企業白書は、「現場の工夫」にフォーカスしています。

● 価格転嫁の工夫

  • 値上げ理由をチラシやSNSで丁寧に説明する事例
  • 商品説明の見直しで付加価値を高める

● DX(デジタル化)事例

  • 小規模企業の約4割が「DX未着手」と回答(2024年)
  • LINE公式アカウントやクラウド会計導入で、業務時間30%削減の事例あり
  • LINE公式アカウントを活用した再来店施策
  • クラウド会計で経理時間を大幅削減

● 後継者問題

  • 家族内で経営方針を共有し、承継意欲が高まった事例
  • 第三者承継や地域支援機関の活用事例も掲載
  • 小規模事業者の約半数が後継者未定
  • 第三者承継成功例はまだ全体の1割以下

6. 重点5分野:2025年の経営戦略のヒント

(1)DX(デジタル化)

  • 顧客管理、業務効率化、分析、EC展開
  • 自社の課題に合ったITツールの導入がカギ

(2)適正な価格設定と交渉

  • 原価上昇分を適切に価格に反映
  • 説明力と交渉力の強化が必須

(3)設備投資による生産性向上

  • 省力化・品質向上に直結する投資
  • 補助金活用とROIの見極めが重要
  • 設備投資を行った企業の66.7%が「生産性が向上した」と回答

(4)人材確保と育成

  • 採用難の時代こそ“辞めない職場”をつくる
  • リスキリング、副業・兼業人材の活用も視野に

(5)ESG・脱炭素対応

  • 脱炭素は「コスト」ではなく「競争力」へ
  • SDGs対応が評価される時代に

7. 診断士・支援者のための活用術

● 補助金申請での活用

  • 白書のデータを「背景情報」として引用し、説得力UP

● 経営計画の裏付けに

  • 経営力3要素をテンプレにして計画を構成
    • 経営者の個人特性
    • 戦略・計画の策定力
    • 組織・人材マネジメント

● 勉強会・セミナー資料に

  • 小規模白書の事例は、現場の共感を得やすい題材

まとめ:白書は「読むもの」から「使うもの」へ

2025年の中小企業白書・小規模企業白書は、単なる国のレポートではなく、

経営者が気づきを得て、
支援者が提案に説得力を持たせ、
診断士が戦略の根拠とするための“実務書”です。

診断士・支援者としてこの白書を活用できるかどうかが、支援の質を左右すると言っても過言ではありません。

「読む白書」から「使う白書」へ。

あなたの支援の武器として、2025年版白書をぜひ活かしてください!

けん

IT系の中小企業診断士 様々な資格試験に挑戦しながら仕事を楽しんでいます。 AIを駆使して息子の勉強用に中学生にもわかるようなIT用語説明の記事を始めました。 応用情報技術者/総合旅行業務取扱管理者/インターネット旅行情報士1級/ビジネス法務2級/ビジネス会計2級/販売士2級/ITパスポート/プロモーショナルマーケター/健康経営アドバイザー/G検定