新入社員タケ:「課長、CPSって何ですか?サイバー…フィジカル…システム?」
課長:「そう、Cyber-Physical Systemの略だよ。現実世界(Physical)で集めたデータを、サイバー空間(Cyber)で分析して、また現実にフィードバックする仕組みだ。」
タケ:「あ、なんか工場とかでセンサー使ってデータを集めて、それをコンピューターで処理して、機械を動かす…みたいな?」
課長:「まさにその通り。例えば工場の温度や湿度をセンサーで測って、サーバーで『もう少し冷却した方がいい』と計算し、その指示を機械に送って調整する。これがCPSの基本だ。」
タケ:「じゃあ、それってデジタルツインと同じですか?」
課長:「似てるけど違うんだ。デジタルツインは、物理空間にあるモノやシステムをそっくりそのままデジタルで再現するモデルを作って、シミュレーションに使う。CPSは、もっと『現実とサイバーをリアルタイムでやりとりして制御する』ところがポイントなんだ。」
タケ:「違いを表で見たいです!」
課長:「じゃあホワイトボードに書くぞ。」
項目 | CPS(Cyber-Physical System) | デジタルツイン |
---|---|---|
主目的 | 現実とサイバー空間をリアルタイム連携し制御する | 現実の対象をデジタルで再現・シミュレーション |
データの流れ | 現実→ サイバー → 現実(フィードバック) | 現実 → サイバー(再現) |
リアルタイム性 | 高い(制御・自動化向け) | 必ずしもリアルタイムでなくてもよい |
活用例 | 自動運転、スマート工場、精密農業 | 都市計画、製品設計、設備の予知保全 |
タケ:「なるほど、CPSは『動かす』、デジタルツインは『再現する』って感じですね。」
課長:「いいまとめ方だな。ちなみにCPSでは現実世界でデータ収集、サイバー空間で解析と活用、そしてまた現実世界で実行という流れになる。標準的にはIoTやAIと組み合わせて使われることが多い。」
富士通のスマート製造へのCPS活用
富士通は製造現場でIoTセンサーを使いデータを収集し、それを仮想空間で再現・最適化するCPSシステム「COLMINA(コルミナ)」を導入しています。現実とサイバー空間をリアルタイムに往復することで、現場の可視化・事前最適化・リアルタイム最適化を実現しています。monoque.jp
川崎重工業におけるインダストリアルメタバース構想
同社はMicrosoftと協力し、製造プロセス全体を仮想空間で再現する「インダストリアルメタバース」を構築中です。設計・開発から試験までを仮想で実行し、そこから得た解析結果を現実へ反映する構造は、まさにCPSとデジタルツインの融合例です。khi.co.jp+1
川崎重工業の産業用ロボット状況管理(デジタルツイン)
世界中に展開する産業用ロボットを仮想空間に再現し、常時稼働状況をモニタリングし、故障予兆や最適なメンテナンスタイミングを提案する取り組みです。これはデジタルツイン単体での活用ですが、CPSへ展開する基盤ともなりうる事例です。toyokeizai.net+4crexinc.jp+4khi.co.jp+4
CPSにデジタルツインを組み合わせると、現実世界で何ができるようになる?
A. 映像だけ見て体験する仮想リアリティになる
B. 仮想空間で解析した結果を、現実世界に即反映できる
C. 現実世界を仮想に置き換えて操作する
以下の例でCPSの構成要素として正しいのはどれ?
A. センサー→解析→制御(リアルタイム)
B. 人がデータを見て手動で機械を止める
C. 計画通りだけを動かす機械制御
CPS活用の具体例として誤っているものはどれ?
A. 工具の摩耗を予測して交換タイミングを示す
B. センサー情報なしで単純に時間で切り替える製造ライン
C. 仮想上の建設現場から機械を制御するプラットフォーム
クイズ1:B
デジタルツインで解析した結果をCPSが現実に反映することで、効率・安全性が向上します。
クイズ2:A
CPSはセンサーで情報収集→解析→リアルタイム制御という流れが特徴です。
クイズ3:B
CPSはセンサー情報を使って制御する仕組みであり、時間だけで切り替えるのは対象外です。